独立行政法人経済産業研究所は、『非国家公務員型』の独立行政法人の特長を生かしつつ、内外の一流の研究者を集め、経済産業政策形成のプラットフォームとして、経済産業省に対して理論的バックボーンと知的ネットワークの提供を効果的・効率的に進めていくことをその目標として設立されるものである」。
研究内容としては、1]調査及び研究業務(企業研究、産業政策研究、国際戦略研究、マクロ・政治経済研究、政策評価・政策ケース研究の5分野)、2]政策提言・普及業務、3]資料収集管理、統計加工及び統計管理業務であり、約50名の研究部門と約20名の事務部門から構成される予定である9)。
(b) 非公務員型独立行政法人の特性をどう活かすか
ヒアリング調査によれば、既に述べたように、通産省としての存在意義に対する危機感がシンクタンク機能の復活を要請していたことから、当初、政策研究機関として独立行政法人化の対象外であったが、非公務員型独立行政法人のメリットを最大限に活用したシンクタンクとすることに方針を変更したようである。
活用すべきメリットとして最大のものは、弾力的な組織構成であるという。すなわち、経営責任を担う理事長には特殊法人の理事長並みの待遇で大物を迎え、研究部門の所長については、スタープレイヤーを招聘し、研究部門については、行政官と外部招聘という2人のシニアフェローの下に、3年の任期付採用により裁量労働制に基づくスタッフを揃える意向である。これは、競合する大学やシンクタンク等に伍して人材を獲得するためであり、年俸制の導入も検討しているという。また、兼職制限を緩和することによって、現職行政官の兼官の途を拓き、本省へのフィードバックを図りたいとしている。
事務部門については、派遣職員等を多用しながらも、これまで外部委託してきた普及業務の内製化を目指すという。
このように、プロパー職員をできるだけ少なくし、人事や予算の面でドラスティックに動くことができるシンクタンクを目指すために、非公務員型独立行政法人のメリットを最大限に活かす予定である。
(c) 非公務員型独立行政法人のデメリット
非公務員型独立行政法人のメリットを最大限に活かそうというものの、既存諸制度の壁もまた厚いようである。