23) 1997年3月6日の参院予算委員会での田沢智治議員(自民党)の質問に対する総理の答弁。同様に、3月12日の参院予算委員会でも小島慶三議員(民主党)の質問に対して、「参考になる意見だと本当に思います。発想として十分勉強する価値があると思っておりますが、それをそのまま移すことで日本がうまくいくとは必ずしも限らない」と述べている。
24) ヒアリング項目は「あくまで省庁のヒアリングのための質問」(行革会議事務局)ではあるが、実際には橋本総理がもつ省庁再編への問題意識を「十分に反映させた」(政府筋)ものだとされる。『産経新聞』1997年4月14日付。
25) 『日本経済新聞』1997年4月8日付夕刊。『産経新聞』1997年5月21日付。
26) 一方では国税庁がエージェンシー化の検討対象例から除外されたことをもって、改革が「後退」しているとする見方もあった。『産経新聞』1997年4月19日付。
27) 典型的なやり取りは以下の通り。ヒアリングは5月7日の第12回会議において法務省、労働省、警察庁から始められたが、法務省は登記、供託業務の独立機関化について、「登記、供託の業務は、国の基本政策に密接な関係を有する業務」であって、「わが国の登記、供託業務は、法務局において総合的な民事法務行政の一環として運営されており、その法務局の組織の中から、登記、供託の業務のみを独立機関化させることは、組織の分散・弱体化を招き、その運営が非効率になるばかりでなく、法務行政に対する国民の高い信頼を損なうおそれがある」という内容の資料を提出している。同じく労働省も職業紹介事業の民営化、独立機関化について、「国は勤労権を保障するため国民に就職の機会を提供する職業紹介事業を行う責務を負って」おり、「公共職業安定所の、すべての求職者と事業主に対して公平かつ無料で職業紹介サービスを提供する役割は極めて重要」という内容である。そして委員との間で質疑が交わされると、「エージェンシー化については概念が不明確なので想定しうる懸念を述べたにすぎない」といった発言になる。なお、労働事務次官はヒアリング前の5月1日の会見で職業紹介事業につき、民営化は困難で独立機関化も難しいと述べ、行革会議との「対決」姿勢を鮮明にしていると報じられている。『産経新聞』1997年5月5日付。
28) 『朝日新聞』1997年5月8日付。
29) ただし、文部省はヒアリングで、国立博物館や美術館について、予算措置などで採算が保障されればエージェンシー化に応じる方向性を示唆していた。『産経新聞』1997年5月22日付。また科学技術庁もヒアリングで「独立機関の定義は不明確だが是非検討したい」として国立研究機関の外庁化に前向きな姿勢を示している。『日本経済新聞』1997年5月24日付。
30) 省庁ヒアリングでエージェンシーの具体像が不明だとの反発があったのを受け、橋本総理は5月15日に水野事務局長らにエージェンシー制度の具体案づくりを進めるよう指示している。『朝日新聞』1997年5月16日付。