ただしこの際には賛成の四党により附帯決議が行われており、独立行政法人の存廃、民営化については2003年度までに客観的な基準を設け、それをふまえた決定を行うべきこと、独立行政法人の職員については行革会議最終報告の趣旨にかんがみ、今後の見直しにおいて特定独立行政法人以外の法人(非公務員型)とするようできる限り努力すべきこと、個別法案の策定にあたっては基本法第41条101)を遵守して関係職員団体等の十分な理解を求めつつ行うべきこと、などが求められている。
(2) 個別法の制定
99年秋の臨時国会では59本の個別法が審議され、独立行政法人化対象業務・事業の選定基準、4つの法人を非公務員型とした根拠、国立大学の独立行政法人化の検討状況などが質疑の中心となった。ただし、通則法が審議された通常国会で議論はほぼ出尽くした感もあったので、審議は粛々と進められていったといえる。結果、ここでも通則法と同様に、自民、自由、公明、社民の4党が賛成、民主、共産の2党が反対して法案は成立した。なお個別法についても附帯決議が行われ、独立行政法人の長の選任にあたっては広く内外から適切な人材を得るよう配慮すること等に加え、基本法第41条の「労働関係への配慮」にもとづき対応することなどを政府に求めた。
以上のような経緯で独立行政法人の制度は正式に導入が決定された。96年の総選挙で各党が行政改革を前面に打ち出していたこともあり、中央省庁のスリム化を図る独立行政法人制度それ自体には共産党を除いて強い反対はみられなかった。社民党はかつての連立与党として基本法に関与した経緯もあり、またほとんどの独立行政法人が公務員型になったこともあり、反対にまわらなかった。民主党は法案に反対はしたものの、制度自体は否定しなかった。公明党は当初、制度の細部にクレームをつける場面もみられたが、自自公連立の内定にともない賛成に転じた。通則法、個別法ともに、法案審議はおおむね平穏に進められたといってよい。
5. 独立行政法人化の政治・行政過程
最後に若干のまとめをしておこう。まず、対象機関・業務の選定をめぐる過程は、基本的には、初期の構想から徐々に対象が抜け落ちていく過程であったといえる(表1)。制度設計がおおむね固まる以前の段階は除いたとしても、初めて対象機関が網羅的に例示された第36回会議の「試案」では113の機関・業務が独立行政法人化の対象となっていた。