集中審議4日目には、事務局から3日間の論議の結果をふまえて「たたき台」に修正を加えた資料についての説明があり、了承された。修正において独立行政法人化の対象機関から、試験研究機関のうちの政策研究機関(財政金融研究所など9機関)、統計業務、直轄公共事業実施業務などが外されたほか、当初は民営化の対象であった国立オリンピック記念青少年総合センターが新たに加えられた69)。この日、郵政三事業の扱いなどをめぐっては、並行して進められた与党側の結論を待って最終的な決定を行うことになっていたが、与党側の協議が深夜に及んだため翌日あらためて開催することとされた。しかし翌21日も開始予定の午後10時になっても与党側の調整が得られず、ようやく日付がかわって22日の未明に第41回の会議が開かれた。会議では橋本総理が与党協議の結果を説明したが、そこでは政府・与党の協議の結果、行革会議の合意事項のうち、変更せざるをえなくなった点についての報告があった70)。こうして政府・与党の協議結果が出るのを行革会議が待つという環境のなかで進められた秋の集中審議は幕を閉じるが71)、独立行政法人については、懸案の職員身分の問題に決着がつき、対象機関・業務についても大筋のところで合意が得られることになった。
集中審議の後、会長代理、事務局長、両主査の4者により最終報告の案がまとめられ、12月3日の第42回会議に提出された。会議では最終報告案の説明と簡単な質疑が行われた後、決定された。なお、決定にあたっては、独立行政法人化の検討対象を例示した別表について、「独立行政法人化に懸念を有する職員団体等の過剰な反応を避け、円滑な移行を促進するため」表の一部を削除するとの提案が行われ、了承されている。そこで削除されたのは総務庁の統計センター、大蔵省の会計センター、そしてそれまで「その他の公的事務・サービス等業務」に区分されていた機関・事業のすべてであった。すなわち、登記・供託、国有財産管理実施部門(普通財産)、営繕(法務、文部、厚生、郵政、建設の各省)、貿易保険、雇用保険、労災保険、自賠責保険、航空管制、職業紹介、気象庁、特許庁、防衛施設庁(労務管理)、国土地理院である。こうして最終報告に盛り込まれる独立行政法人化の対象機関・業務数は73となった(民営化等の検討対象を含めると89)。11月12日の第36回会議で提示された「試案」からは、かなりの数の機関・業務が抜け落ちる結果となったわけである。