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さらに事務局において幅広く対象業務についてリストアップを行い、集中審議で検討することとなった。これを受け、11月12日の第36回会議では事務局から「独立行政法人の対象として検討すべき業務について(検討資料)」60)および「独立行政法人等の対象として検討すべき業務(試案)」が提示され、136の機関・業務が列挙された(表1を参照)61)。その大半は試験研究、文教研修、医療厚生などの「施設等業務」62)であったが、「その他の公的事務・サービス等業務」として、検査検定(自動車検査等)、直轄公共事業実施(建設省地方建設局等)、国有財産管理、官庁営繕、登記・供託、工業標準、特許、航空管制、保険(雇用保険、労災保険、貿易保険等)、気象、国土地理、職業紹介なども挙げられた63)。なお、136の機関・業務のなかには、「廃止、民営化、地方移管等を検討した上で、なおこれらになじまない場合に、独立行政法人化を検討するもの」として、航空大学校や工業技術院など23機関・業務も含まれている。郵政を含む4現業については別途検討するとされた。一方、翌11月13日には自民党の行政改革推進本部が、独立行政法人の職員は国家公務員と同等の「新型公務員」とする方針を固めるとともに、独立行政法人化の対象事業を列挙したが、そこには行革会議のリストには掲載されていなかった郵政三事業、印刷・造幣なども含まれている64)

11月17日から21日にかけて、最終報告を取りまとめるための秋の集中審議が開かれた(第37回〜第41回会議)。独立行政法人問題が扱われたのは2日目の第38回会議であった。審議は事務局が用意した「集中審議たたき台」をもとに進められたが、そこでは職員身分の問題と対象となる具体的業務が「P」(ペンディング)扱いとなっていた職員身分の問題については「独立行政法人の職員の身分に関する整理」が事務局より示され、その内容は、国家公務員型と非国家公務員型の2類型を設ける、国家公務員型も一定の要件に該当する場合には非国家公務員型に移行できる、などとするものであった65)。これに対して芦田委員が難色を示したため議論となったが、最終的には、委員の一人が意見を留保したということを確認の上、事務局案が了承された66)。懸案であった職員身分の問題は、公務員型と非公務員型の二つのタイプを併置することで最終決着が図られたわけである。さらに、独立行政法人化の対象業務についても事務局が提示した資料にもとづいて各業務の個別的な審議が行われ、まずは現行の外局のなかで検討対象となっていた社会保険庁、特許庁、気象庁から始められた67)。結果、この日に独立行政法人化が合意されたのは博物館・美術館、国立病院・療養所、科学技術に関する試験研究機関、国土地理院、貿易保険、車検業務、普通財産管理業務などであった68)。なお、政治マターとしての性格が色濃い、郵政三事業、印刷・造幣、国有林野等の問題については、橋本総理に一任とすることが決められた。

 

 

 

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