藤田主査はこれらを要約し、独立行政法人の職員の身分は、原理的には国家公務員ではないが、円滑な移行等を図るため身分に関し必要な措置を検討する(この場合、独立行政法人の特色を損なわないことが必要)こととした。
10月1日の第30回会議から22日の第33回会議、およびこれに並行して進められた合同小委員会では、中問報告の省庁再編案にしたがって、独立行政法人化を含めた各省庁の業務の見直しが検討された。そして第5回(10月22日)と第6回(10月29日)の合同小委員会、および第34回会議(10月29日)では再び独立行政法人の職員身分の問題が検討され、ここにおいてこの問題は事実上の決着をみる。事務局の試案は、「独立行政法人の職員については、(新規に採用される者を含めて)当分の間、国家公務員とする。この場合の公務員制度の内容は、現業並みとし、国家公務員法によるのではなく、独立行政法人法(仮称)により暫定的に特に設けられる特殊な身分とする」というものであった。また、渡辺委員からは、1] 当分の間、身分を国家公務員とする、2] 恒久的措置として一般職、特別職のほかに「独立職」国家公務員という新しい身分を設けるとする2案が提示された56)。一方で芦田委員は、独立行政法人は国家行政組織の中に位置づけ、その職員は一般職の国家公務員とするべきだと主張している。この問題は最終的な合意を得るにいたらず秋の集中審議に持ち越されることとなったが、芦田案はもとより事務局案、渡辺案ともに現行の国家公務員と同等の身分保障を与えることとしており、職員身分問題の扱いは事実上固まったと言ってもよい情勢であった57)。なお、こうした議論が進められる一方、中間報告が打ち出した郵政三事業の一部民営化への反発が自民党を中心に強まっていったが58)、行革会議はこれへの妥協策として「三事業一体で独立行政法人化、職員身分は国家公務員」という線で自民党側と調整を進めることになり、独立行政法人の職員身分の問題は郵政三事業問題とリンクするようになってしまう59)。
(6) 対象機関・業務の選定作業と最終報告
独立行政法人の対象業務についても同時並行的に議論が進められていった。第6回合同小委員会(10月29日)では事務局から「独立行政法人の対象業務について(検討資料)」が提示されたが、そこでは中間報告に盛り込まれた対象業務の要件が確認されるとともに、「独立行政法人の検討対象として想定される業務・機関」が例示された。そこでは国家行政組織法第8条の2に定める施設等機関(矯正収容施設は除く)に加え、統計、登記・供託、国土地理、職業紹介なども含まれている。