また、この会議で示されたエージェンシーの基本イメージは以下のようなものであった。すなわち、国が行っている事務事業を政策立案と実施に分離し、実施事務のうち可能なものは民営化を進めた上で、残された事務のうち、規制や監督など国民の権利に直接影響を及ぼす事務は新しい「外局」が担当し、民間に委ねることはできないが公共上の要請から必要とされる事務は「エージェンシー」が担当する、というものである。当初は、ここでいう「外局」もエージェンシーの一類型として位置付けられていたのであるが、「外局」は行政組織として残すこととし、法人格を付与する独立行政法人のみを日本版のエージェンシーとして位置付けることになった37)。なお、この会議では二つの小委員会(企画・制度問題小委員会と機構問題小委員会)を設けることが決められ、独立行政法人問題は機構問題小委員会で審議されることとなった38)。
(4) 職員身分問題の難航と中間報告
6月には4回の会議が開かれ(第16回〜第19回)、さらに省庁ヒアリングが進められていく。省庁ヒアリング終了後、行革会議は本格的な論議に入っていくが、第20回会議(7月2日)では主に内閣機能強化の問題が審議された39)。7月9日の第21回会議では藤田委員から独立行政法人の職員身分をどうするか(公務員か、準公務員か、非公務員か、etc.)などの論点整理をもとに議論があったが、エージェンシーのモデルについての具体的なあり方をさらに詰める必要があるとの意見が出され、事務局が検討資料を用意することが決められた。これを受けて7月16日には第1回の機構問題小委員会が開かれ、事務局からエージェンシー構想関係資料などの討議資料が提示される40)。そこでは独立行政法人化の対象業務が例示されるとともに、職員身分の問題は「運営の自律性や柔軟性が十分に確保できない」という理由から公務員のまま移行することに否定的な考えが示されている。審議では、外局化、エージェンシー化、民営化を振り分ける基準、エージェンシーと本省との人事交流、財政的コントロールのあり方などについて意見が交わされた。7月23日には第2回の機構問題小委員会が開かれ、事務局が独立行政法人化、外局化、民営化、地方移管の検討対象となる192の項目を列挙した資料を提示した41)。審議では特殊法人と独立行政法人、外局の関係などを中心に質疑が交わされた。なお、7月30日には企画・制度問題小委員会において連合官公部門連絡会との意見交換が行われており、そこでは労組側からエージェンシー制度導入への反対が伝えられている42)。