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また、連立内閣発足にあたって3党は政策協議を行ったが、そこでは省庁の機能別再編・統合、そして「外庁化」を図ることが合意され、エージェンシー制度導入に向けた環境が一つ整えられている13)。同時に、霞が関大改革を断行するべく、民間人を中心とした総理直属機関を設置して行政改革の具体案を一年以内にまとめ、98年の通常国会で法案成立を期することが合意された。この政策合意にもとづき、橋本総理を会長とする行政改革会議(以下、行革会議)が11月21日に発足する。独立行政法人の制度化も、この行革会議によって提起されることになる。

 

2. 独立行政法人の制度設計 ―行政改革会議の審議過程

(1) 事務局の調査研究

行革会議のメンバーには会長である橋本総理と会長代理の武藤嘉文総務庁長官のほか、財界、労働界、言論界、学界の代表、そして行政法学者ら13名の委員が集められた14)。省庁OBは一人も選ばれなかった15)。事務局は水野事務局長(委員兼務)、八木俊道事務局次長(元総務事務次官)、3名の参事官(総務庁、大蔵省、総理府から出向)のほか、28名の調査員などから構成された。調査員の半数は民間企業や大学などから招かれている16)。なお。この行革会議は、法律に根拠を持つ機関ではなく政令による機関のため国会の関与がないこと、さらに報告を受け取る側の総理みずからが報告を提出する側の会長をつとめることなど、従来の行政改革とは異なったスタイルをとっているところに特徴があり、このことが後の審議や対与党関係にも影響を及ぼしていく17)

行革会議は11月28日に第1回会議が開かれ、翌年の5月上旬までは関係審議会からの情報収集、有識者との意見交換、事務局による調査結果の報告などが続けられる18)。事務局では行革会議発足後、短期間のうちにイギリス、ニュージーランド、カナダ、スウェーデン、米国、ドイツ、フランス、韓国における行政改革の動向調査等をとりまとめ、なかでもイギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどで導入されていたエージェンシー制度については6名ほどからなる班を設けて、日本への導入の可能性を含めかなり詳細な調査を行っていた19)。また、事務局では1月31日に各省庁に対して質問書を提示しており、そこには「英国型エージェンシー(外庁)の導入の可能性及び類似制度の導入の可能性」という項目も盛り込まれていた20)

 

 

 

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