第1は、構造上の分解(structural disaggregation)であり、大規模な省庁タイプの組織を「中核」省とそれから分離した「エージェンシー」へ解体するというアイデアである。
また、第2の中核アイデアは業績「契約」と呼ばれており、「購入者/供給者」または「政策/運営」構造の間に設定された関係に関わっている。そのロジックの中には、契約によって結果志向を埋め込むことができるという主張が見出される。
こうして、二つの中核アイデアを座標軸として図3のような四つのボックスを設定することができる。
しかし彼らは、図3の読み方についてはいくつかの注釈を加えている23)。まず、図の(I)から(IV)への動向は、「不可避」ではないし、常に「前進」(progress)であると解釈されるべきではない。多くの行政上の教義と同様エージェンシー化についても盛衰が起こりうるとしている。
(出典) C. Talbot et al., The Ideas of Agency, 2000, p.11.
第2に、四つのボックス間は画然と分けられるものと見なすことは誤解を招くことになる。
事実二つの次元は継続的なものと考えられており、例えば業績「契約」は、当初は少数の達成目標しか設定していなかったとしても、より包括的なものへと発展する可能性もある。実際、過去15〜20年にわたり、多くのOECD諸国は、図3のボックスの左から右へ、上から下へ動いた。とくに、いくつかの国では、(IV)タイプへの移行が強力に行われた(ニュージーランド、イギリス、カナダ、オランダ)。
しかし、移行の出発点、タイミング、スピード、深さ、制度形態、目的の優先順位は、各国ごとにさまざまであった。さらに、それは一方的な移行過程ではなく、時には後退が見られた。
第3に、彼らは二つの基軸次元の普遍性について部分的に留保する。比較研究者として、彼らは多くの国に適用できるに足る一般性を持つが、同時に具体的な変革の意義を指摘できる助けになるに足る特殊性を持った次元を見出そうとしたが、いかなる次元もその文化的起源から全面的に自由ではあり得ないと指摘している。