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第二は「構造的」解釈と呼ばれるものであり、NPMの台頭を経済的グローバリゼーションの過程および情報テクノロジーの急速な発展と関連付けている。

第三の最も新しい解釈によれば、各国を横断するNPMアイデアと改革の浸透は民間部門からの合理的で、利潤最大化をめざす経営管理コンサルタントによって基本的に推進されたプロセスであると指摘する。

NPMの発展を説明する因果的要素として、これら三つのアプローチは相互に排他的ではなく、事実上相互に関連している。グローバリゼーション・アプローチは、中道左派政党も官僚制改革において、NPMアイデアを受け入れたということが注目されたとき、ニューライト解釈の後に開発された。同じように、コンサルタントに注目するアプローチは1990年代初めに、多くのアナリストが官僚制改革過程における政策助言のソースとして外部コンサルタントの出現を観察しはじめたとき、グローバリゼーション解釈の後に出現した。

しかし、ほかの二つのアプローチ同様、コンサルタントに注目する解釈は、実施過程へ関心を集中していないがゆえに、政策の多様性を説明することができない。上記三つのアプローチはNPM改革を追求する運動を説明するための強力な解釈ではあるが、これら三つのアプローチは、その実施(implementation)について何も述べていない。新しい政策を追求する運動とそれが実施される程度を区別することが必要である、と彼は主張する9)

サン・マルタンは、このような視座に基づきながらイギリス、カナダ、フランスの行政改革について綿密な比較分析を進め、とくに行政改革プログラムのベースになる一層専門的なアイデアを提供するさいの経営管理コンサルタントの役割について初めて実証的研究を行っている。当然、そこから示唆を受ける点は多いが、当面、現代行政改革の性格と背景についての検討にとって、次のような点がとくに示唆に富むように思われる。

・NPMの出現をニューライトと関連づける考え方は、この問題の初期の研究において一般的であった。

・しかし、改革の進行とともに、フランスのような中道左派政府でも、部分的にはNPM的手法が導入された。

・そこで、グローバリゼーションに注目する見解が強くなった。しかし、このことは、画一的改革に収斂することを必ずしも意味しなかった。

・同じニューライトの政権であっても、イギリスとカナダではNPM導入の程度はきわめて異なる結果となった。一つの要因として、コンサルタントが政権中枢に直接影響を及ぼしたかどうかの研究が進められた。

 

 

 

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