2. 研究の概要
2.1 研究の進め方
本研究は、平成12年度から2ヶ年計画で(財)沿岸開発技術研究センターに設置した委員会(委員長:早稲田大学理工学部 清宮 理教授)の指導・助言を受け、検討を進めることとしている。(研究計画フローは、図2.1に示すとおりである。)
2.2 平成12年度研究の概要
平成12年度の研究の主要な実施内容と成果概要を次に示す。
(1) 既往技術(文献、特許)の調査・整理
既往の軽量骨材(超軽量骨材)、超軽量コンクリート及び既往の係留方法、係留技術の調査、分析を行い、次の結果を得た。
1) 従来の軽量粗骨材は絶乾比重1.2〜1.35程度であるが、0.7〜0.95程度の超軽量骨材が開発されている。
2) 超軽量骨材を使用したコンクリートの比重は1.2〜1.5程度で、圧縮強度は普通コンクリートと同等の35N/mm2程度が可能である。
3) 係留装置は数多くの形式のものが提案されているが、本研究の対象としている浮桟橋等においては、チェーン係留(中間シンカーを備えたものを含む)及び杭式係留が主体となっている(添付資料参照)。
(2) 浮体構造物のアイディア抽出
超軽量コンクリート、FRP等の新素材を対象に浮体構造物への適用性を検討し、次のような結果を得た。
1) 超軽量コンクリートの配合試験を行い、比重1.4程度で圧縮強度は上述のように普通コンクリートと同等のものが得られることを確認した。
2) 上記の超軽量コンクリートは普通コンクリートと比較すると、せん断強度、ヤング率が小さい等の欠点を有する。このため、構造設計に当たっては鋼材による適切な補強等対策を検討する必要がある。
3) FRPは、浮体構造物の側壁等への適用が可能と考えられるが、衝撃に弱いためにフェンダー等による防護が不可欠と考えられる。
(3) 係留方法のアイデア抽出
簡易係留装置の検討を行い、次の3つの係留方式を抽出した。
・アーム式係留
・ブリッジ式係留
・リンク式係留
(4) 超軽量コンクリートを使用した浮桟橋の理論検討
超軽量コンクリートを使用した浮桟橋の概略試設計、従来浮桟橋との性能及びコスト比較を行い、次のような結果を得た。