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そして将来に関しても同様です。つまり負担がまだ増大しつつあるわけですから、将来への見通しは暗いと言えます。

一方で、良いニュースもあります。リオの1992年のサミット以降、様々な努力の結果、効率の良いツール開発が進められてきました。ここに出ている事例はEUのものでありますが、空間計画のツールがあります。例えば欧州空間開発展望(ESDP)ですがいこれは1999年末に出された新しい文書であります。これは強制的なものではありませんが、ここの中で強く打ち出されているのは、将来への以下のような展望であります。

ここで強調したい主な原則を挙げてみます(P.35参照)。それは欧州全体にわたる空間開発の見通しとして、複数の中心を設けたポリセントリックな空間開発をしようということです。つまりバランスを分散しようということ、開発を分散して行うということであります。欧州全体の領域にわたって分散を図る、特に南北でうまく分散させようというもので、詳細は後ほどお話しいたします。

それから、関連のある領域から出てきたプロジェクトを奨励するということです。つまりプロジェクトは、その地域の特徴に合わせた形でやるということです。文化とか経済とか、その現地の人々、国民のことを考えた上で実施するということです。

それから経済開発を促進する、これは明らかな目標でしょう。

それからもう1つ、インフラと知識に関しては平等なアクセスを奨励するということでありまして、この原則は複数の中心地を持つ空間開発といった考え方と非常に合致しております。

それから最後に出ておりますが、自然、および文化的な遺産を賢明に管理するということであります。これも非常に重要な概念です。EUの中では、特に自然と文化の伝統を強調しようという声があります。

もう1つのツールとして触れておきたいのは、ご存じかも知れませんがいデモンストレーションプロジェクトであります。これは5年経ちましたが、ICZMに関して、統合的な沿岸管理戦略の一環として、バレンツ海から地中海にかけてのヨーロッパ中に35ものデモンストレーションのサイトが総合的な沿岸開発管理の対象とされています(P.36参照)。これが持続可能な開発に向けての2つ目の試みになります。

ここの中では様々なテーマが出てきます。異なったサイト、そして完全に異なった状況下でそれぞれ重要性を持ったいろいろな活動があり、このようなICZMのデモンストレーションの一環としてこういったものが進められているわけであります。

ここで強調したい点があるのですが、例えば幾つかの異なるサイト間に共通する主なテーマがあるんです(P.37参照)。非常に興味深いのですが、特にこのテーマは幾つかあって、例えば観光とレクリエーション、これがそれぞれに共通する主要なテーマです。それから景観と文化伝統、これが第2にポピュラーな共通項。3つ目が生物の生育環境、そして生物多様性です。このあたりはみな共通です。つまり、この3つに関してはどこでも重要なものと考えられています。もちろんほかのテーマが重要じゃないというわけではありません。しかし、トレンドとして今言った3つが共通項として、すべての国のサイトに当てはまる部分だと思います。

 

 

 

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