もちろん全く異なったサイトもあるわけで、例えばこのデモンストレーションプロジェクトをEUレベルで実施して行くには、各デモンストレーションサイトごとに共通のものを設けテーマスタディーとして全体を網羅する必要があります。つまりそれは法律や規制、利害関係者の参加、ツール開発といった技術開発、セクター間や各国領土間の協力、各サイト間の管理調整、ICZMプロモーションの将来に向けたEUの政策的役割、そして特に技術面で、現地、国、地域レベルで情報をいかにして取りまとめていくかといった情報の役割、といったことであります(P.38参照)。
もう1つの情報として、ストラスブールにあるヨーロッパ科学財団(European Science Foundation)のウェブサイトからコピーした資料ですが、ESFのマリンボードのデータ(P.39参照)が出ています。ここは欧州のシンクタンクみたいなものと考えていいでしょう。今、ホットな話題としてヨーロッパのマリンサイエンスプランができております。これは今月末までに戦略的な海洋科学計画が策定され、提案されることになっています。そして来年、統合された海洋科学計画として出されたものがさまざまな国に提出され、検討されることになるわけで、このESFはそういった意味で重要な役割を担っております。海洋科学計画、その活動等において、ヨーロッパでこのESFの役割が重要となっております。
もう1つ強調したいのはEUの政策であります。これは海洋の持続可能な開発に関するもので、ユーロマッドというものがあります。これはEU諸国及びその他の地中海の沿岸諸国との合意のことなのですが、これは政治的な合意で95年に調印されたものです。先週マルセイユで再び会談が開かれたばかりでありまして、EU諸国とすべての地中海沿岸諸国との間で話し合いが行われました。そして現在、短期、中期的な計画といったものが策定されておりまして、さまざまなテーマごとに計画ができています。沿岸管理もそのテーマの1つになっています。
こうした地域活動の中心の1つに、地中海行動計画における拠点の一つとしてクロアチアのスプリトがあります。ここは調整役を担うことになっていまして、さらなるパイロットスタディーがここでICZMの開発のために進められてきます。ここでは欧州のサイトだけではなくて、他の地中海に面する国々にも関わっていくことになります。これは政治的な合意という性格でありまして、実行は容易ではありません。ご想像いただけるかと思いますが、現在の地中海の事情を考えていただければわかるかと思います。しかし、これは将来にとっては非常に重要な出来事であります。ここでかかっている利害、つまりこの南部の開発がかかっているわけでありますから、複数の分散した中心地を設けた開発を図るという点で特にこの合意が重要です。
そこで次に統合的沿岸管理のデモンストレーションサイトの話ですが、これは一体どういうものなのか、どういう性格のものかということについてお話をいたしましょう。私は積極的にICZMを促進をしていることで有名なロードアイランド大学のコスタルリソースセンターに行ってきたばかりなのですが、面白い点は、まずこうしたICZMの活動というのは1つのプロセスだということなんです。計画をつくるプロセスと考えていいでしょう。ごらんのようにいろいろなステップがありまして(P.40参照)、問題を同定する、そして環境を評価する、そして最終的に評価をする段階まで回っていく、そして最終的にこのサイクルが終わると次のサイクルに入る、そして2つ目のプロジェクトをやっていくということになりますから、非常に反復的な、世代的な形で進んでいくわけであります。