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しかも、最近は南カリフォルニア諸港が混雑してきたので、失ったコンテナ物流が幾分シアトルとタコマに戻ってきており、結果としてピュージェット湾諸港の市場シェアが改善された(V章C.1.g節参照)。もし、南カリフォルニアの混雑が緩和されれば、2002年にアラメダ回廊プロジェクト(Alameda Corridor Project)が完成することになっているので、拡散したコンテナ物流が再度南カリフォルニアヘ戻る可能性がある。いずれにせよ、この(報告書の)推定期間では、シアトル港を含んですべての西岸主要港で、総取扱量は増えると予測されている。

 

2. 商船(輪送船社)の要求事項

コンテナ施設の究極の利用者は商船、つまり輸送船社である。市場の条件が変化するなかで、船社側のニーズに合わせて、海上輸送施設のインフラを設計することが肝要である。この海運産業に大きな影響を与えている二つの重要なトレンドは、1]航路数の減少、2]革新的な業務提携が結ばれ、収益の向上と船の利用効率向上を図っていること、である。

 

太平洋横断のコンテナ貨物航路は幾つかの船社により支配されている。主な船社は、American President Line/Neptune Orient Line ("APL/NOL")、シーランド、マースク、China Ocean Shipping Company ("COSCO")、川崎汽船(K-Line)、日本郵船(NYK)、Orient Overseas Container Line ("OOCL")、Yangming Marine Line ("Yangming")、商船三井、DSR Senator LineとCho Yang Lineである。これらの14船社で、西岸の太平洋経由コンテナ貨物の輸入で93%以上、輸出で91%以上を扱っている。

船腹のやりくりのために、多くの船社は船腹共有協定(VSA, Vessel Sharing Agreement)を締結している。これは、アライアンスとかコンソシアムとも呼ばれるが、参加船社は自社のコンテナを他社の船に乗せることができるものである。こうすれば各船社は投資を節約でき、利益率が上がり、より効率的なサービスを提供することができる。

このVSAが航路運営にもたらしたことは、一つの航路における寄港(船の入港と出港)頻度が多くなってきたことで、二次的な港湾への寄港は航路からはずすことで、より速いトランジットタイムを可能にし、ハブ港(load center)での活動に集中するようになったことである。この傾向が続けば、小さい船の代わりに大型船が稼働できる可能性をもたせるために、ハブ港においてより大型のターミナルが必要となってくる。しかも、船隊にポストパナマックス船を追加する船社が増えてきている。

さらに、マリンタワービルがもう一棟建設され、船倉計画の事務所として活用される。

港湾局によると、BST Associatesによって確認済みだが、次の船社がより広いスペースを要求している。

・T18のSSAの顧客であるCOSCOとニューグランドアライアンス(日本郵船、OOCL, Hapag LloydとP & O NedlloydによるVSA)

・T46のハンジン

 

 

 

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