日本財団 図書館


7. PSAの海外戦略

 

PSAの民営化の際に、PSAコーポレーションの一部門として、国際事業部(IBD: Inernatonal Business Division)を設立した。これにより、PSAは世界一流の港湾管理者から、世界的な港湾・物流体系を活用した、「世界的な港湾物流企業」としての活躍を視野に入れている。

 

1)大連港(Dalian Port、中国)

 

1996年7月、PSAの海外ターミナル事業を大連港務局との合弁事業で立ち上げた。PSAの子会社SPDIが49%、大連港務局傘下企業が51%出資して、大連コンテナターミナル会社を設立した。PSAと大連港の関わり合いは古く、世界銀行のローンで大連港にターミナルを建設する際のフィージビリティスタディを1987年に行っている。しかし、それ以降はPSAは政府機関とのことで、その開発投資に参画することはできなかった。1997年までには、3バース+5キークレーンを手始めに、41mドル(ざっと50億円。m: million)の投資で、最終的には、4バース+9キークレーンの体制になり、年間100万TEUの取扱能力をもつ。取扱実績は、96年421,000TEU、97年462,000TEU、98年1月〜9月までで340,497TEUとなっている。(因みに、上海港全体では97年252万TEU、98年305万TEUの取扱)船の平均寄港時間は18時間。

98年10月には、大連港東部(Donggang area)の再開発で大連港務局と出資提携の契約を結び、the Dalian Marina Centre Development Co.Ltd.を設立している。これは、この東部の古い部分を新たな経済中心地として再開発するものである。

また、中国大陸全体の物流を睨んで、当地のChina MerchantとChina Merchant-PSA Logistices Co.Ltd.を設立し、上海Shanghai、天津Tianjin、広州Guangzhou、武漢Wuhan、成都Chengdu、鄭州Ahangzhouに地域物流センターを計画している。その第一弾として、上海の運送会社との合弁で、China Merchant-PSA Logistices Shanghaiを設立、物流センターを開業している。

 

2)福州港(Fuzhou Port、中国)

 

PSAの大連港での実績より、このFuzhou港においても、1997年4月、ジョイント・ベンチャーが組まれ、QingzhouとTaijiang港の既存ターミナルの運営およびMinjiangの沖合に大水深のターミナルを開発運営するものである。Fuzhou港の1997年の取扱量は177,000TEUであり、当港は台湾との直接的な運航(台湾の外船社が、高雄港をハブとして、フィーダー貨物をやり取りしてよい)が認められている二つの港の内の一つである。(もう一つは、Xiamen港で、ここは香港資本のHPH(Hutchison Port Holdings)が進出している。)

現在、PSAはこの地区で以下の3つのJV会社を興した。

1]Fuzhou Qingzhou Container Terminal Co. Ltd (FQCT)

2]Fuzhou Qingzhou Warehousing & Transportation Limited

3]Fuzhou Aofeng Container Service Co. Limited

このPSAJVによるコンテナターミナルの運営は98年5月1日より開始された。

FuzhouのQingzhouターミナルの取扱実績は、98年178,000TEUであり、97年実績より17.3%上昇したとのことである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION