日本財団 図書館


そのため、1台の船には3台〜最高6台くらいまでのキークレーンをつけて高速荷役を行う。これも、多くの船がコンテナを千個、二千個の単位で荷下ろし、荷揚げすることより可能となる。

1997年にマースクの世界最大のコンテナ船(6,600TEU) Sovereign Maerskが来て、2,100個のコンテナを扱った際、着岸時間はたったの13時間であった。また、95年寄港のMette Maerskで1時間に229個のコンテナを扱ったことを広報している。第三世代の船(ポストパナマックスのことか?)では、平均して時間当たり88個の荷役をするといい、これは世界一の早さであるという。

 

●PSAの労務状況について:

 

ターミナルの運営体制は古いターミナルでは3シフトであり、新しいパシャ・パンジャンでは2シフトである。もともと3シフト体制のところは、なかなか2シフトヘの切り替えはできない。パシャ・パンジャンは若い作業員が中心なので、2シフトにした。(これで、交代時のロスは少なくなる?)作業員にとってどちらがいいかはそれぞれである。2シフトでは、その分連続して取れる休みも長くなる。

深夜シフトのときは、一律Shift Allowanceとして21S$がもらえる。もちろん取り扱い能率による割増手当もあり、これで、能率的作業のインセンティブとなっている。

PSAには、昔から

・The Singapore Port Workers' Union(1946年結成)

・Port Officer's Union(1967年結成)

の二つの労働組合が存在する。しかし、彼らにはスト権はなく、法律で禁止されている。

港湾での労働者に限らず、さまざまな業種で、政府が推奨賃金のようなものを設定している。PSAの場合、機械のオペレーターで、基本給、シフト手当、能率手当を合わせてだいたい2,000〜2,500S$ぐらいの月給となる。事務員はそれより下であるが、マネージャークラスになると4,500S$前後(34万円)である。能率インセンティブのない職員は半年ごとのボーナスで査定される。今回の民営化に当たり、職員の給与は一律3%アップした。

作業員の中にはマレーシア・ブルネイなどの外国人労働者もいるが、どの程度の人数かは不明。PSAは全体で7,000人程度の就業人員であるが、各部門の就業人員は、公開していない。

 

6)横持ち作業(Prime movers)

 

ターミナル運営の重要な部分の一つであり、もちろんPSAが運営する。コンテナ取扱数量の約80%がトランシップであるため、フィーダー船で荷下ろしされるコンテナはキークレーンより直接シャーシー(Chassis:シンガポールではチャーシと呼ぶ)に積み込まれ、貨物は予定される本船の着くヤードまで横持ちされる。この横持ち業務は、足りない部分やピーク時の対応から、そのドライバーの何割かは外注で雇用している。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION