民営化後のPSAは、このような契約内容のみならず、標準的な料金体系も一切利用船社以外には公表しなくなった。利用船社側にヒアリングしても、PSAからの忠告もあり、具体的な契約内容に関しては口を閉ざしている。このような、個別のややもすると差別なな取扱も民営化のなせるわざかもしれない。その反面、かつてあった種々のリベートシステムも撤廃された。例として、Fast Collection Rebateが廃止されている。この制度は、コンテナ存置期間を4段階ぐらいに設定し、そのぞれの期間内にトランシップできた場合、短期間の度合いに合わせて、所定の金額を返納することで、船社に早期のトランシップ処理を促していた。またこの撤廃と補完関係にある制度改定として、トランシップ用コンテナ(実入りも空も)の672時間(28日)の無料存置期間が9曰間までに削減された。以上の制度改変は、トランシップ貨物をそんなに存置するメリットが実際に船社側にもほとんどないことと、情報化システムの進展とターミナルの拡張で、コンテナの回転率を昔ほどやっきになって進める必要がなくなったことが要因と考えられる。因みに、ローカルコンテナ(シンガポールの輸出入コンテナ)は、その無料存置期間は実入りで、72時間、空コンで48時間であった。(現在もこれが基準か?PSAに要確認)また、PSAはターミナルの有効活用のため各船社に空コン集積地として利用してもらうための、empty container depot schemeを発表している。
2)情報技術
シンガポール港は、ターミナル運営には大きく次の3つの情報システムがPSAによって、提供されている。
1]PORTNET
PORTNETは、PSAが運営し、PSAと船社(代理店)、海貨業者、運送業者及び荷主等のポートユーザーをオンラインで結び、コンテナ貨物の搬出入、蔵置、船積情報、積替手配、本船バース手配等、コンテナターミナル運営に係わる情報交換をリアルタイムに行なうシステムである。
その主な港湾情報提供の内容をまとめれば、次の通りである、
・各種貨物の申請予定とマニュフェストの提出書類の状況
・バース、パイロット、タグボート、バンカー(給油)、給水等のボートサービス要請や各種問い合わせ状の作成と提出
・本船到着予定、着岸時間、出港時間等の本船情報
・コンテナの搬出入、蔵置、船積予定等のコンテナ個別の情報
2]BOXNET
BOXNETは、PSAのターミナルと荷主・トラック運送業者(Container Haulier)を結ぶもので、コンテナの持ち込み・引き取りを電子情報でやりとりし、
・所定の時間帯でのコンテナの扱いによるゲート待ち状態の解消
・1台のトラックで、うまく持ち込み・引き取りを連続して行い、トラック費用を削減
などの効果を狙っている、このシステムで、運送業者は新しい輸出コンテナの登録(shipping note)ができるが、その際大元のポートネットにおけるshipping noteは自動的にアップデートされる。