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2. PSAのターミナル運営と情報技術

 

1)利用船社の取扱い

 

シンガポールのコンテナターミナルは、PSAによって一元的に管理される。一元的とは、コンテナ物流に関する種々のサービスを現状ほぼ独占的に実施しているという意味である。ターミナルの利用形態は基本的に、日本での公共バース方式で、船社の申し込みに対して、適切なバースをPSAが割り当てる。ただし、コンテナ貨物の80%がトランシップ貨物である性格上、本船積み出しを考えると、本船の船社に関連するフィーダー船は自ずとその近傍に割り当てられるものであり、ある程度、同一船社は同じようなバースを使用する傾向にあると思われる。

船社のターミナル利用に関しては、主に2種類の契約があり、これはコンテナ取扱費用を取扱高に応じて、ある程度安く計らい、また集荷努力に対して規定量を越えた場合にさらに割引を設定することで、船社側の集荷インセンティブを高めるものである。

 

1]Virtual Terminal Agreement

1996年にグローバルアライアンス(マースク、コスコなど)がPSAと締結したもの。これは10年の長期取り決めで、毎年のボリューム保証を行って、コンテナのサイズやリーファーなどの種別にかかわらず、1個当たりの共通取扱単価を設定し、取り決めている。その分、PSAもタリフ管理の手間が省ける。10年に渡り、年毎4%の数量の増加が要求されている。この扱い量には、ローカルカーゴ(シンガポール消費・発生貨物)も含めてよい。また、アライアンス加盟船社全体の取扱量で実績が査定される。

 

2]TSA(Terminal Service Agreement)

昔は、これをappropriated berthing schemeと呼び、所定以上の取扱量に対して単価を下げるVolume Discountが実施されていたが、1996年1月よりTSAの名の元に個別の船社との料金契約が順次締結された。これは、3年程度の個別船社との契約で、年毎のコンテナ持ち込み量のノルマがあり、予定数達成で5%程度のディスカウントがあり、増やすほどディスカウント率があがる。また、予定数に達しなかった場合、ペナルティを取られる。これは、トランシップ貨物だけに適用される。これを導入した際に、港湾料金が全体として平均9.7%上昇したといわれるが、これはMPAが政府へ払うターミナルリース料がマーケットプライスにするとの変更を受けて、PSAが料金改定をしたという時期と一致する。(再度PSAに確認必要)

 

TSAでは、契約船社が持ってきた貨物でも、コンソシアム内の他船社(スペース・シェアリングの同盟者)でトランシップされるとその分は取扱量にカウントされない。その点、グランド・アライアンスは加盟者のどの船でもカウントされるので有利である。このTSAで、PSAは個々の船社とコンテナのサイズ・種別に応じて取扱料金を決めている。よって、料金は船社ごとに異なることも生じていると考えられる。

 

 

 

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