(2)各分区において立地を許容する構築物
IIIレベルに該当するものとして臨港地区が指定された区域を想定して、分区の目的に照らして許容される構築物には別表中IからIXまでに掲げるものが考えられること。
分区条例を定める地方公共団体は、次の事項に留意しつつ別表を参考にして、また、指定されている分区が二以上の混合的性格を有することもありうることから当該分区の性格や当該港湾の事情を考慮して、実情に応じた条例が定められるよう配慮すること。
1]別表中に「市長が指定する」という字句を使用しているが、この運用は港湾法第39条第1項に規定する各分区の目的に照らして適正な範囲内で行われる必要があること。また、条例を定めるに当たっては、別表に例示されている事業、施設以外のものについても明示することを妨げるものではなく、むしろ具体的に明示することが望ましいこと。さらに、市長の指定に委任した場合にもできるだけ具体的に個々の事業、官公署等を明示する必要があること。(この場合の「市長」とは、港湾管理者の長(港務局にあっては委員会の長)のうちから市長を例にとったものである。以下同じ。)
2]別表中に掲げる構築物の中には、各分区の目的を実現する上で直接的な役割を果たすものと間接的な役割を果たすものが含まれているが、間接的な役割を果たす施設で都市に一般的に立地する用途を許容する内容の分区条例を定めた場合に、これらの施設が集積した場合には、レベルの区分が速やかに見直されるべきであること。このため、分区条例案を作成する地方公共団体の港湾担当部局は、立地を許容する構築物の範囲等についてあらかじめ都市計画担当部局と十分に調整を行うこと。
3]条例の制定に当たっては「ただし、市長が公益上やむを得ないと認めて許可したものを除く。」旨の規定を設けることを妨げるものではないこと。
(3)分区条例の改正に当たっての留意事項
既に条例が定められている分区について、条例を改正する際には次のような点に留意すること。
1)従来の分区条例を基本とした場合、時間の経過に伴って追加すべき施設、削除すべき施設、より詳細に要件を示すべき施設の見直しを行うこと。
2)港湾法第39条第1項に規定する各分区の目的を実現し、港湾の利便の増進を図るために必要な施設等で広く都市内に立地するものを掲げる場合には、港湾機能の構築物に特定するために必要な限定を付すことが考えられること。
(4)建築確認等との関係
建築基準法に基づく確認の際、制限構築物の範囲について疑義を生じさせないよう、分区条例案を作成する地方公共団体の港湾担当部局は建築担当部局と十分に調整を行うとともに、条例の施行後にも密接な連携を図ること。また、建築主事の置かれている地方公共団体と港湾管理者である地方公共団体とが同一でない場合にも、事務に支障の起きないよう関係者間の連携を密にすること。