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国有地等の効率的な管理・処分の推進に資するため、例えば、行政財産の管理・利用状況等を知りたい、売却物件情報を入手したい等といった国民のニーズに応じて、情報提供のあり方を合目的的に検討していくことが求められる。

その際、現在外部からの照会等への対応に相当な事務負担がかかっていることも考慮して行政の事務効率性を確保しつつ、タイムリーかつ効果的な情報提供に更に一層努める必要がある。また、前述の網羅的な情報の電子情報化により検索機能等が向上し、国民のニーズに即応した情報提供にある程度応えることができるようになる面がある点も念頭に置く必要がある。

 

1]行政財産の効率的な管理に資するための情報提供の充実行政財産については、現在国有財産現在額口座別調書により、所在地、面積、台帳価格、用途等の網羅的な情報提供が行われている。

今後は、国民の情報ニーズを踏まえ、国有地の効率的な管理・処分、行政の効率化の推進などの要請に資するよう、合目的な観点から整理された情報の提供に努めるべきである。例えば、行政財産の管理・利用状況等に関して、過密地域等の国有財産について、利用容積率と法定容積率との対比を整理した形で提供することや、現在行われている使用状況実態調査の結果をとりまとめてその報告書を公表すること等を検討する必要がある。

行政財産に関する情報提供については、国全体で極力統一的、整合的にこれを行うよう検討する必要があるが、犯罪予防、プライバシー保護等の観点から公開になじまないと判断される場合も考えられ、その判断は基本的に当該行政財産を所管する各省庁の長の責任に委ねられることとなると思われる。その場合でも、統一的、整合的な運用が図られるよう配慮する必要がある。

 

2]売却物件情報提供等の充実

売却対象となる未利用国有地については、購入希望者の資金繰りや利用面の検討材料を提示する見地から、各財務局等の国有地情報コーナーに物件周辺の公示価格や基準地価格等の資料が備え付けられ、価格についての情報提供の充実が図られたところであり、今後大蔵省ホームページの物件情報に案内図等が掲載されることとなっている。また、売却が円滑に進むようレインズ登録物件数の増加及び範囲の拡大が図られたところであり、今後も、利用者の利便向上を図るため、タイムリーできめ細かくかつ効果的な情報提供に一層努めるべきである。

なお、売却物件情報のうち、物納財産の収納価格や周辺国有地の処分における売却価格等の情報については、プライバシー保護等に配慮しつつ情報提供に係る要望に応える方策について、今後の検討が必要である。

 

(3) 土地等の台帳価格の時価評価の推進等

1]国有地を始めとする国民共有の資産である国有財産については、その実勢を把握することが重要であり、土地等の財産の台帳価格の時価評価の一層の推進について検討していくことが求められている。国有地については、現在、原則として5年間の地価の変動を踏まえた一定の時価倍率を乗じて価格を改定しているが、今後は、国有財産台帳の価格改定に当たっては、相続税路線価に基づいた評価を行うこと等により、時価を一層反映させることが必要である。

2]また、今後の課題として、国の信用力の裏付けという見地も含め保有する資産の実質的価値が一覧的に把握できるような財産目録の作成を求める声がある。こうした観点から、情報提供については、国有地等の時価評価の推進に加えて、国有財産総額の4割弱を占める出資による権利等を含め土地以外の財産の評価のあり方や手法についての幅広い角度からの議論や、更には国有財産として把握する財産の範囲についての総合的な議論が必要である。これに関連して、出資による権利等の実質的価値を的確に把握するためには、国が出資している各特殊法人等のディスクロージャーを引き続き推進して、各法人の財務状況を不良債権も含めて明らかにしていくことが重要である(注6)。

(注6) 特殊法人の財務については、平成9年に制定された「特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律」により、財務諸表等の作成、公告、閲覧に係る規定が整備され、全特殊法人の財務内容の公開の推進が図られることとなった。

さらに、平成9年11月の資金運用審議会懇談会とりまとめ「財政投融資の抜本的改革について」において、特殊法人等の行う事業のうち財政投融資の対象となっている事業については、その実施に当たって将来必要となると見込まれる政策コストの把握及び公表に取り組むべき旨が指摘されている。

 

 

 

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