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(4) 大都市に所在する大規模物件に係る売却手法の検討

大都市に所在する大規模国有地については、都市基盤施設の整備、防災及び都市環境の改善の要請に応え、土地の有効利用を図る必要がある。このため、例えば、再開発地区計画等の都市計画決定を経た上で入札等を行う方式について検討すべきである。(注4)

この方式のように国が予め地方公共団体との協議等により策定する地区計画等に従い整備を行っ国有地取得者を資金面から支援するため、平成11年度に日本開発銀行の融資制度が創設されたところである。

また、都市計画事業施行者との随意契約による売却方式についても、今後、具体的な提案が当該施行者よりなされた場合には、周辺一体の土地利用状況や地域の将来計画等に配慮しつつ、国としても積極的に取り組むべきである。

(注4) 平成11年度末頃に移転予定である防衛庁本庁檜町庁舎(東京都港区所在)の跡地については、国有財産関東地方審議会に部会を設置して利用用途及び処分方法等の審議を行った結果、平成11年6月9日に同審議会より再開発地区計画などの都市計画決定を経た上で処分する方向で検討することが適当との答申が行われたところである。

 

(5) 郵送による期間入札方式の導入

従来の一般競争入札は、期日入札方式により物件毎に応札者が特定の期日に保証金を持参して立ち会いの下で入開札事務を行っていることから、事務的、時間的制約が多く、大量物件の入札実施には機動性に欠ける面があると言われている。

このため、応札者の利便性の向上と事務の効率化の見地から、平成11年1月、郵送による期間入札方式が導入されたところであり、今後、本方式を積極的に活用し、入札実施件数の増加を図るべきである。

 

(6) 権利付財産の売却の促進

近年における物納財産の増加に伴い、借地権や借家権が付着した権利付財産が累増し、貸付料改定事務等の管理業務が増大してきている。

このため、権利付財産については、借地権者等の買受意向を十分把握し、仲立委託(注5)制度を活用して貸付料改定時等において売却価格を提示する等積極的な買受勧奨を行い、売却の促進を図るべきである。

(注5) 仲立委託

財務局長が、普通財産の売払い又は貸付け等に関する契約の仲立及びこれに伴う業務を、宅地建物取引業者に委託すること。

 

IV 国有財産に関する情報公開のあり方

 

一般に国の情報公開については、従来から国が能動的に行っている情報提供と、国民からの個別の情報開示請求を受けて行われる情報開示との二つの側面に大別されるものと考えられる。

後者については、第145回国会において成立した「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」に基づき、国民への説明責任を全うするとともに国民の理解と批判の下に公正で民主的な行政の推進に資するとの同法の目的を実現するため、国民からの情報開示請求等に積極的に取り組んでいくこととなる。このため、ここでは、情報の開示請求を待つまでもなく国が能動的に行う前者の情報提供をいかに充実していくかという観点から主に検討を行った。

 

国有財産に関する情報公開の現状と問題の所在

(1) 国有財産に関する情報公開の現状

国有地を始めとする国有財産については、国有財産は国民共有の資産との考え方に立って、従来から各種報告や資料の閲覧等を通じ、情報の公開が進められてきた。

1]法令に基づくものとしては、毎年度、財政法第28条に基づき予算の参考書類として国有財産現在高及び国有財産見込現在高に関する調書が国会に提出され、同法第46条に基づき国有財産の現在高等の国民への報告が行われている。また、国有財産法第34条及び第37条に基づき、会計検査院の検査を経た上で国有財産増減及び現在額総計算書等の国会報告が行われている。

 

 

 

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