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さらに、特殊法人等が所有する財産の効率的な利用を図るため、出資者の立場から当該法人に対し、その方策について検討させる必要があると考えられる。

 

行政財産の管理の一層の効率化

今後の行政財産管理の仕組みについての方向性として、現在各省庁がそれぞれ個別に管理している行政財産について、将来的にはより一元的な形で管理を行うべきという意見が出されたが、これに対しては、行政財産の口座数が多数に上ることからすれば、一元的に管理することが果たして実効的かとの指摘があった。いずれにせよ、当面現行の制度を前提としつつ、行政財産全体について、以下のような一層横断的な視点をもった管理を行うことにより、効率化を進める必要がある。

 

(1) 各省庁による行政財産の管理が、適正及び効率的に行われることを確保するため、行政財産に対する実態調査、監査については、その機能の一層の充実に努める必要があり、各省庁による行政財産の管理に当たって、調査・監査の結果がより一層反映されるよう努めるべきである。

(2) 各省庁が管理する行政財産、特に区分経理されている特別会計所属の行政財産、例えば庁舎等の利用状況等については、従来必ずしも一元的な形で十分把握されていなかった面があったが、今後は、一元的な把握に一層努めるとともに、行政財産全体の効率化に資する見地から、各省庁の行政財産の現状、使用実態等のデータベース化についても検討する必要がある。

また、把握した情報を整理した上で国民に提供することを含め、非効率な使用となっている財産について、行政内外からチェック機能が働くような環境整備に努めていくべきである。

(3) 行政の効率化を推進する観点から、行政の用に供する財産の調達・管理形態の多様化を図る必要があるが、様々な調達・管理態様の財産を、全体としてより効率的に活用していくためには、横断的な視点が一層強く要請されるところである。これに関し、国が所有する庁舎に関する情報に加え、賃借する建物等に関する情報を一元的に把握することについて検討する必要がある。

(4) 共用会議所、合同庁舎など各省庁が共同して使用する行政財産について、一層効率的な利用がなされるような管理システムを検討すべきである。また、各省庁が個別に管理する行政財産についても、例えば相互融通や機動的な転用を進める等、行政財産全体の横断的効率化の推進方法について検討すべきである。

 

III 国有地の売却等を巡る諸問題

 

売却等に関する基本的考え方

(1) 未利用国有地の処分に関しては、従来から、国又は地方公共団体等による利用予定があるものについては、これらの公用、公共用利用を優先するとの考え方がある。この考え方を基本とし、特に都市部の未利用国有地については、都市再開発等広域的な波及効果をもたらすものへの重点的、計画的活用に努め、当面の利用予定がない場合であっても、将来の公用、公共用利用が見込まれるものについては、基本的に民間への処分を控え、その間適正な管理を図ることとしてきた。

未利用国有地の管理・処分に関する従来の国有財産中央審議会答申においては、このような公用、公共用優先の原則を維持しつつ、時々の未利用国有地の保有状況、財政事情等の情勢を総合的に勘案して、具体的方向性が示されてきた。例えば、昭和58年の答申では、当時の米軍からの大規模な返還財産等の未利用国有地の存在や財政収入確保の要請を背景に、国の利用予定のもの等を除き、地方公共団体等に一定期間内の買受勧奨等を行った上で民間へ売却するという考え方が示され、また、平成2年の答申では、未利用国有地が残り少なくなっていることを背景に、長期的視点に立って公用、公共用優先の原則を更に徹底させるという考え方が示された。

 

(2) 近年の国有地を取り巻く情勢には、地価の下落、小規模なものを含む物納財産の急増、財政事情の一層の悪化等、従来必ずしも想定されていなかった様々な事情の変化が生じてきている。こうした情勢の変化を踏まえ、今般、非効率な使用となっている行政財産の用途廃止後の売却等も視野に入れた未利用国有地の売却等に関する基本的考え方について改めて検討した。

 

 

 

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