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(4)国有財産中央審議会「今後の国有地の管理処分のあり方について」

(平成11年6月)

 

I はじめに

平成10年7月31日に、内閣総理大臣から閣議において、「現下の厳しい状況にかんがみ、国有財産は、各省庁の公館公舎等を含めて各種施設は、徹底した情報公開をし、資産の売却及び転用について、早急に検討を行う。」との指示がなされた(注1)。

(注1) この指示を受けて、内閣に国有財産情報公開・売却等促進連絡会議が設置され、各省庁が所管する個別の国有財産についての徹底した見直しと情報公開の推進についての検討が進められた。平成10年12月17日には同会議としてのとりまとめが行われた。

 

国有財産中央審議会は、平成10年9月8日、内閣総理大臣の指示も踏まえ、今後の国有地の管理処分のあり方について、大蔵大臣から審議の要請を受けた。本審議会においては、審議を行うに当たり、専門的知識を有する委員の参加を得て審議を効率的に進める見地から、本審議会の下に「国有財産の売却等に関する小委員会」を設けた。

 

近年、国有地等の国有財産を巡る情勢には次のような大きな変化が生じている。我が国財政は多額の公債残高を抱え極めて厳しい状況にあり、国の事業を民営化すること等により小さな政府を実現することや、情報公開の一層の推進が要請されている。また、地価の下落が続き不動産市況も好転したとは言えない状況であること、物納財産が急増していること等、大きな変化が生じている。

 

こうした認識の下に、小委員会においては、平成10年9月18日に第1回小委員会を開催して以来、今後の国有地の管理処分のあり方について関連のある問題も含め幅広く議論を行った。

国有財産の管理等の一層の効率化を図るための方策について検討し、非効率な利用や未利用となっている国有地については売却を検討する際の基本的考え方を整理し、売却を促進するため売却手法の多様化について検討した。さらに、国民共有の財産である国有財産の効率的な利用を図るためには国民に対する情報公開が重要であるとの観点から、国有財産の利用状況に関する情報や売却物件情報などの公開の充実について検討を行った。

 

本審議会は、小委員会から、平成10年12月15日にそれまでの議論の中間報告を受け、報告された内容を了承した上で、引き続き審議を要請したところであるが、ここに、小委員会からの最終報告を受け、慎重に審議した結果、今後の国有地の管理処分のあり方について、本審議会として報告することとする。

 

II 行政財産のより効率的な管理のあり方

 

行政財産管理の現状

(1) 国有財産は、国が行政上の目的のために所有する行政財産とそれ以外の普通財産に分類されるが、行政財産には、国の庁舎、国有林野のように国が事務・事業に直接使用するものや、公園、道路のように国民が使用するものなどが含まれる。行政財産については、これを使用する各省庁の長が管理を行うこととされており、他方、行政財産の効率的使用等の観点から、各施設の立地、規模等に関し、国有財産総括大臣が必要な調整を行うこととされている。

(2) 行政財産については、現下の諸情勢の下、より一層の効率化の推進が求められているところであり、本小委員会においては、改めて行政財産の効率的な管理のあり方について検討を行った。

行政の用に供する施設の調達方法については、法令上定めがあるものではないが、従来より、賃借による手当ては例外とされ、国自らが所有・管理することが基本とされてきた。これは、行政事務遂行の安定性の確保を重視する考え方に立つものであるが、他方でこうした扱いは、行政上必要とされる施設の需要に即応してきめ細かく効率的な管理を行う上では難があるとの指摘もあり、行政財産のより一層の効率化を推進する観点から調達・管理形態の弾力化が検討課題となっている。

 

 

 

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