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従って、規制緩和により認可料金制度が廃止されるに当たり、以下のように、港湾運送事業者の要請に応じ港湾運送約款に基づき荷役料金の分割支払を行うことについて、船社、荷主の理解と協力が得られるならば、拠出金を確保する方法として効果的であるところから、船社、荷主に対し、港湾運送の安定化のため、このような支払方法の変更について理解と応分の協力を要請せざるを得ないと考える。

また、これにより港湾運送の安定化を確保しつつ、円滑に規制緩和を推進することは、船社、荷主にとっても望ましいところであると考える。

 

(荷役料金の分割支払)

・各拠出金の拠出は、従来どおり、基本的には港湾運送事業者の責務であり、荷役料金等の収入のうちから自ら拠出するものであることを前提に、船社、荷主に対し以下のとおり、荷役料金の分割支払を要請するもの。

・港湾運送事業者は、運輸大臣の認可を受けた港湾運送約款に基づき、船社、荷主との間で契約した荷役料金の支払に関して、拠出金額に相当する荷役料金の一部の金額については(財)港湾近代化促進協議会に、荷役料金のうち残りの金額については当該港湾運送事業者に分けて支払うことを船社、荷主に対して請求(従来どおり、請求書に荷役料金の内訳として拠出金額に相当する金額とそれ以外の金額とを分けて明示)。

・港湾運送事業者は、拠出金額に相当する荷役料金の部の受取及び(社)日本港湾福利厚生協会等に対する拠出金の納付を(財)港湾近代化促進協議会に委任。

 

7]なお、この荷役料金の分割支払が行われる場合には、運輸省は、その適正化が図られるよう(財)港湾近代化促進協議会等を指導すべきである。

また、荷役料金の分割支払への変更が行われる場合には、船社、荷主の負担ができるだけ少なくなるようにすべきであるとともに、運輸省も含めて3年後に荷役料金の分割支払について見直しを行うべきである。

 

VI 港湾運送事業の効率化、サービスの向上

 

港湾運送事業の効率化やサービスの向上が我が国の港における喫緊の課題であることに鑑み、規制緩和を行うのと同時に、以下のような方策をとることによって、効率化やサービスの向上を一層促進すべきである。

 

1. 港湾運送事業の集約・協業化等

「港湾運送事業の将来像」において指摘したように港湾運送事業の集約・協業化等による規模拡大、体力強化や、効率化のための作業の共同化等を図ることが急がれるところから、以下のような方策をとるべきである。

 

1]労働者保有基準の引き上げに連繋した事業協同組合化の促進

労働者保有基準の引き上げに連繋して事業協同組合化を進め、事業協同組合内における共同就労や、検討されている常傭労働者の融通制度の活用などを進めることによって、実質的に規模拡大を図り、効率的な労働者の就労体制を築くことによって、港湾運送事業の効率化を図っていくことが重要である。

集約・協業化の方法は他にも合併、協業組合化があり、どの方法をとるかは港湾運送事業者の任意であるが、合併等が進まない状況に鑑みると、まず、事業協同組合から始めることにより、着実に規模拡大を積み重ねていくことが現実的であると考える。

なお、具体的な集約・協業化の推進に当たっては、各港において過去の経緯、事業の状況等がそれぞれ異なると思われるので、各港ごとにそれぞれの主体的な取組が必要と考える。

 

 

 

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