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2]作業の共同化等の推進

各港において効率的な作業実施体制を築くため、共同受注を進めたり、以下のような作業の共同化等を進めるべきである。

・荷役作業の共同化(特に、効率化が急がれ、かつ、比較的導入が容易であるコンテナ作業の共同化)

・荷役機械、ターミナル、上屋、荷捌場、バンプール、シャーシプール等の共同所有、共同借受、共同使用

・物流情報システムの共同開発、共同利用

このような作業の共同化等を進めていくことにより、事業協同組合等への集約・協業化も促進されると考える。

また、関係機関は、このような作業の共同化等に関し、その推進が図られるよう、必要に応じ、支援措置を講じることも検討すべきである。

 

2. 日曜荷役、夜間荷役等の推進

日曜荷役、夜間荷役は、外航コンテナ船を中心に実施されているところであるが、それ以外の部分においては、必ずしも円滑な取組が行われていない面もある。

日曜荷役、夜間荷役に関しては、基本的に労働者の交代制が取られていない現状の下、その実施のために必要となる時間外手当等の追加的労働コストをどのように負担するか、また、労働者の労働条件の悪化防止をどのように図るか等解決が困難な点があるのは事実である。

ただ、港湾運送事業のサービス改善のためには、船社、荷主等港湾ユーザーのニーズがある場合には、労使双方が柔軟にその実現のための条件を探っていくという対応も必要になってくるものと思われる。

特に、地球環境問題からその利用が促されているRORO船等のモーダルシフト船並びに全体の荷役量の増加や国内主要ハブ港の活性化に役立つ内航フィーダー船に係る日曜荷役や夜間荷役など弾力的な荷役の実施に向けての取組が重要であると考える。

また、その際には、必要な荷役量が継続して存在することが前提であるが、荷役量に応じて交代制の導入も検討されるべきであると考える。

また、日曜荷役や夜間荷役の割増料金の問題に関しては、休日や夜間の労働者の割増賃金を料金体系の中でどのように織り込んでいくかという問題と考えるが、必要に応じ、港湾運送事業者と船社、荷主間でフラット料金など柔軟な料金制度の導入の可能性を探っていくことも必要と考える。

さらに、夜間荷役の実施に関しては、必要に応じ、港湾労働者の待機、購買、飲食等のための施設整備や通勤手段の確保も重要と考える。

また、コンテナヤードのゲートのオープン時間の弾力的運用も望まれるところである。

 

VII 規制緩和のスケジュール

 

最終答申後、改正法案の作成作業を行い、2000年1月から始まる通常国会に2000年内に改正法を施行することとする港湾運送事業法の改正案を提出すべきである。

なお、IV.の「規制緩和の実施」に関しては、法改正が必要であるところから、2000年内の改正法の施行日(以下「施行日」という。)から実施すべきであり、V.の「港湾運送の安定化策」に関しても、規制緩和の実施に伴う措置であり、一部法改正も必要であるところから、基本的にIV.と同様に施行日から実施すべきである。

また、VI.の「港湾運送事業の効率化、サービスの向上」に関しては、施行日を待つことなく、実現に向けて努力すべきである

 

VIII 終わりに

 

港湾運送事業は、戦後一時期大きな混乱の時代を経験したこともあり、その安定化が重要視された結果、ややもすると他産業と比べ、その近代化、効率化に遅れを取ってきた面があることは否めない事実であると考える。

 

 

 

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