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(3) 臨港地区に関するアンケート・ヒアリング

 

港湾管理者、FAZ事業者、港湾運送事業者等に「臨港地区」制度についてアンケートやヒアリングを実施した。その結果からは臨港地区そのものを否定する意見はなく、むしろ今後も港湾の一体的な管理運営や港湾機能を維持していくためには必要な制度であるという意見が大半だったが、制度内容や運用方法などについてはいくつかの問題点が指摘された。

 

1) 産業構造の変化への対応

〔港湾管理者〕

・商港区で物流貨物の一部を原材料とした二次加工場の進出希望が多く、対応に苦慮している。

・商港区の中でPDI(輸入車のワックス落とし、納車前検査等の小規模の流通加工)を解釈運用で認めている。こういう要望は世界の自動車会杜から多い。

・商港区内で梱包財やポテトチップスの材料を輸入し倉庫で2次加工したいという要望があり、従来は認めなかったが認める方向で検討している。

・日本経済の構造変化により、物流センター等の陸陸貨物を取り扱いたいとの要望は多いが、海貨を扱わない施設は認められない。

・企業活動の内容が多角化しているなか、商港区、工業港区など分区を細分化していることは企業にとってマイナスである。

・廃棄物のリサイクル施設は「廃棄物処理施設」となり工業港区ならいいが商港区では認められない。

 

2) 働きやすい就業環境の整備

〔港湾管理者〕

・港湾労働者が利用するような定食屋やコンビニは認めていく方向である。

〔FAZ〕

・公共交通機関が充実していない、市街地から離れているなどの点から事務所棟の誘致は困難である。

 

3) 低・未利用地の有効活用

〔港湾管理者〕

・昨今の物流構造や産業構造の変化に伴い、遊休地(石油会社跡地等)の有効活用を図る場合、分区規制により柔軟な活用が阻害されるケースが多い。(ex.ゴルフ練習場等の暫定利用)

・土地の有効活用の観点から、実質的に港湾活動を阻害しない限りにおいて柔軟な対応が求められているが、一方、臨港地区の規制は重大な財産権の制限であるため、本来、裁量の余地があってはならないものである。このジレンマを解消するためには条例改正により立地可能施設を広げていく必要があると思われる。

 

 

 

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