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(2) 社会・経済の変化と臨港地区に求められる役割

 

(1)で述べたように本来臨港地区は物流や生産活動を中心とする港湾活動を円滑に行うために設定された地区であるが、近年の経済・社会の変化に伴い、以下のような役割が求められている。

 

1) 効率的な物流空間と経済のグローバル化に対応した活力ある産業空間としての役割

 

東西冷戦終結後、世界的な市場経済の拡大と生産の国際化がすすみ、資金・人・資源・技術が国境を越えて移動する経済のグローバル化が進展している。

それに伴い国際水平分業体制が進展し、日用品等の製品輸入や部品輸入の増大あるいは食料の海外依存率の増加をもたらすこととなった。

そのような状況の変化の中で臨港地区が国際競争力を備えた活力ある経済・社会を支える物流空間・産業空間としての役割を果たすためには、従来の海陸を結ぶ輸送拠点としての機能や海外からの原料をもとに製品やエネルギーを生み出す生産拠点としての機能に加え、その外内貿の物流拠点のポテンシャルを生かした流通加工機能や循環型経済・社会の形成に資する機能の整備が求められる。

 

2) 人々の生活に潤いを与える生活空間としての役割

 

港湾は物流や生産活動を中心に発展を遂げてきたため、人々の生活からは隔離されたものとなりがちだった。その反省から近年、親水緑地の整備やパブリックアクセスあるいは都市的なにぎわい空間の形成が図られてきたが、引き続き市民に親しまれる臨海部の整備を進め人々の生活により密着し、かつ潤いを与える生活空間としての役割を果たす必要がある。

またその際、臨港地区で働く労働者の視点も重要であり、働きやすい労働環境の整備も考慮される必要がある。

 

 

 

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