2) 提言2:公社の遊休・低利用ターミナルの高度利用の検討
1]岸壁水深、クレーン性能等を考慮し、かつ借受け者が希望する背後ヤード規模を岸壁と一体的に貸し付けることとし、余った用地を他の利用に転換する
2]外航定期船以外の利用も可能にし、背後用地も荷捌き以外の利用を可とする(多目的国際バース的なもの)
コンテナ船大型化による技術の進歩が早すぎて、本来50年の耐用年数をもつものが、10〜15年で陳腐化することが避けられない。こうした状況を踏まえて、用地の有効利用を図ることが求められている。具体的には今後、新鋭バースヘの既設バース借り受け者の移転や、施設の陳腐化による移転、リース料(又は使用料)の負担に耐えきれなくなることによる撤退等により、既存バースの遊休化が生じる可能性があり、その場合、公社の経営をさらに圧迫することとなるし、必要な新規バースの整備を阻害する要因ともなる。
一方、公共ターミナルではヤードの不足、港頭地区ではバンプールやシャーシ置き場の不足が言われており、また、ターミナルの24時間オープンの条件としての厚生施設の必要性やゲート待ちのスペース、コンテナ貨物による交通渋滞を減らすための予約制導入によるコンテナ引き渡し場所の確保等、用地需要は大きなものがある。
公社の健全な経営を確保するためには、遊休・低利用施設への対応は非常に重要であり、港湾において新たな開発空間が乏しくなりつつある現在、比較的まとまった遊休地が生じた場合、新たな企業を誘致することも可能となり、港湾の活性化に寄与できると考えられる。
そこで、公社ターミナルの遊休施設の有効活用・港湾機能の向上を図るとともに、自助努力で可能な範囲を広げるための仕組みを導入する必要があると考えられる。
そのためには、以下の論点を整理する必要があると考えられる。
1]承継法等法律上の検討
3]公社の経営上のメリットと自己責任
2]コンテナ埠頭周辺での用地需要
4]港湾全体から見た遊休・低利用ターミナルの活用
●各論点の整理
1]承継法等法律上の検討
公社のコンテナターミナルについては、承継法で、「岸壁等を一体として貸し付ける」(法第四条)こととされているが、施設整備後長期間経過し実体的にヤードの必要性がなくなった部分については、借受者や第三者によって他の利用に供することを否定できるものではないと考えられ、現行制度のもとでも、資産の有効活用等のための過渡期的な対応として、暫定利用(1〜2年)が図られるものと考えられる。