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また、事業者によっては自前の資金で、ガントリークレーンなどの施設を整備したいとの意欲のある動きがある。本来、荷役部分で収益を挙げている事業者が、施設整備にも参画していくべきだとの声もあり、またそのようにすることで、投資資金を回収する意味からも、より一層の効率的運営と、営業努力が喚起されるといった利点が生じる。

そこで、これまでの公的管理による活用に比較して、民間事業者に設備投資や経営を委託することによって、より利用効率があがり、港湾の収入増や国民経済的にメリットが高くなる場合は、ターミナル借受け者の能力、必要に応じて施設整備が可能となるような整備・運営(地主型港湾)方式を導入することを提言する。

 

このため、以下の論点を整理した。

 

1]地主型港湾方式導入の利点

2]公共埠頭の専用貸付の可能性

3]使用料金の設定を借受事業者が行える可能性

4]公的支援の是非

5]想定される事業者

6]既存の公共埠頭から「地主型港湾方式」への切り替えの可能性

 

●各論点の整理

 

1]地主型港湾方式の導入の利点

欧州のロッテルダム港、ハンブルグ港や北米のバンクーバー港、シアトル港、ロサンゼルス港をはじめ、アジアにおいてはシンガポール港など世界主要港では、コンテナターミナルの整備・運営について、公共(港湾管理者)整備の岸壁に民間の数社の港運事業者が上物整備をして、ターミナル運営をしている(地主型港湾方式)し、英国の主要港湾では、インフラを含めた完全民営化された港湾が主流をなしている。

また、今回の国内のヒアリング・アンケート調査より、民間においてターミナルの上物を整備しようという意欲が見られ、これは港湾管理者の負担を減らすことにもなる。また、荷役部分で収益を挙げている部分が、施設整備にも参画していくべきだとの声もあり、そうすることによって、投資資金を回収する意味からも、民間企業のより一層の効率的運営と、営業努力が喚起されるといった利点が生じると考えられる。

また、民間によるターミナルの管理運営はコンテナの取扱効率をあげるのに適していると一般に言われており、それにより船社負担の低減が図られ、我が国国際コンテナターミナルの競争力の強化にもつながると考えられる。

公共バースと公社バースの実績で明らかなように、専用的利用を図ることにより取扱量は増加する。取扱量が増えればコンテナ1個当たりの荷役料は下がり、最終的には商品の価格が下がると見れば消費者の利益につながる。

 

 

 

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