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2) 利用の公平性

港湾法第46条によれば、「一般公衆の利用に供する」とあるように、税金を投入した施設である以上「誰でも、かつ、差別無く使える」ことが従来から最も重視された公共性の条件である。(ただし税金を投入するという意味では専用利用である埠頭公社バースヘの国の無利子貸付も同じではないか?という指摘もあるが)

 

港湾法第46条(国が負担し又は補助した港湾施設の譲渡等)

港湾管理者は、その工事の費用を国が負担し又は補助した港湾施設を譲渡し、担保に供し、又は貸し付けようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。但し、国が負担し、若しくは補助した金額に相当する金額を国に返還した場合、又は貸付を受けた者が、その物を一般公衆の利用に供し、且つ、その貸付が三年の期間内である場合はこの限りではない。

2 港湾管理者は、前項本文の規定により運輸大臣の認可を受けた場合、又は同項但書の場合の外、その管理する一般公衆の利用に供する港湾施設を一般公衆の利用に供せられなくする行為をしてはならない。

 

本検討では、その一般公衆の「利用」という概念をより広く捉え、直接その施設を利用することだけではなく、その施設を使って荷役される貨物の特性に注目し、それが不特定多数の消費者のための商品であったり、また、不特定多数の荷主の生産物であれば、間接的に不特定多数の者がその施設を「利用」していると捉え、定期船のためのコンテナターミナルはたとえ1者の専用的な利用でも一般の公衆の利用に供されていると解釈すべきではないか。

一方、利用の公平性の担保として、他の場所に誰でも使える公共バースを確保することにより、港全体としては、公共性は確保されていると見るという考えもある。

港湾施設の整備の進展に伴い、港湾機能の利用について、岸壁やヤードなどの施設毎の観点から、港湾全体或いはもう少し広い範囲(例えば東京湾とか大阪湾とか)の中で、利用の公平性を論じても良いと考える。

この場合、港湾内において(或いはもう少し広い範囲の地域において)、ある施設については専用使用されていても、他の施設において複数の利用者の需要を満たすことが可能な場合は、利用の公平性を妨げないのではないか。

また、利用者を船社とした場合、ターミナルオペレータが複数の船社と契約してターミナルを運営する場合は、利用者の公平性は確保されると考えられる。

 

3) 参入手続きの透明性

運輸政策審議会港湾運送小委員会(平成11年6月答申)では、主要9港について港湾運送事業の免許制を許可制に変更(需給調製規制の廃止)することが謳われ、これにより一定の労働者保有基準や施設基準を満たせば、外国資本を含めて自由に参入することが可能となる。(2000年内の法改正)

今回提案の地主型港湾方式では、この港運事業の許可を受けた事業者(または免許保有者)なら、船社やその他の民間企業を含め、誰でも参入できることとする。

 

 

 

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