日本財団 図書館


「行政財産の管理形態についての検討」においては、以下の点が指摘されている。

 

1]非効率な利用となっている行政財産については、従来は用途変更や、用途廃止の上普通財産として売却すること等によって効率化を図ってきたところである。

今後は、これに加えて民間との共同利用やPFI方式(注)の活用など民間企業的な柔軟な考え方を導入し、国有地の効率的な利用を図るべきである。

今後、例えば、各省庁が国有地上に公共施設等を整備するに当たっては、公共施設等の性格、国が自ら公共施設等を整備する場合とPFI方式を活用する場合の財政負担の比較、公共施設等を賃借することによる行政目的への影響などを総合的に勘案し、PFI方式を活用することにつきメリットが多いと認められる場合にはPFI方式による公共施設等の整備を検討すべきである。なお、PFI事業を行う民間事業者の選定に当たっては、公開の競争による等できる限り透明性を確保する仕組みとすべきである。

(注)PFI(Private Finance Initiative)方式とは、公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るものであり、国有財産の効率的な利用を図る観点からも、同方式を活用することは有益であると考えられる。平成11年7月23日、同方式を導入するため、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案」が国会で可決された。

 

2]また、例えば、庁舎等の施設において、国の利用部分が長期的に減少していくような場合、その全体を一旦民間に売却し、必要な面積のみ賃借する方が経済的ではないかとの指摘があった。

このような方法については、当該庁舎等の性格、その活用が効率的かどうか、売却収入と将来にわたる賃借料支出との比較、賃借に切り替える場合の行政目的への影響などを総合的に勘案し、行政財産として所有し続けることを上回るメリットがあるかどうか慎重に検討すべきである。

 

3]行政財産について、資産としてより効率的な活用を図る一つの方法として、国有財産法上の総括権に基づき、当該財産を利用して行われている国の事業自体の民営化や経営権の民間委譲を検討すべきではないかとの指摘がなされた。さらに、これに関連して、国の事業の民営化の課題は、我が国の構造改革全体を推進し、小さな政府を実現する契機として考えていくべき問題であるとの意見もあった。

しかし、この意見に対しては、民営化の是非については事業のあり方自体の検討が不可欠であり、国有財産の管理の立場のみでは論じられないとの指摘が出された。

 

5) PFI法の成立

(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)

「民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の建設、維持管理及び運営(これらに関する企画を含む。)の促進を図るための措置を講ずること等により、効率的かつ効果的に社会資本を整備し、もって国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的に、平成11年7月23日、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が可決成立した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION