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○ 港湾運送事業の将来像

これからの港湾運送事業者は、事業規模を拡大し、企業体力をつけるとともに、必要に応じ、自らターミナルを借り受け、ターミナルオペレーターとして事業展開を図っていくことが必要である。

そうすることによって、船社、荷主からの求めに応じて単に労務を供給するということではなく、競争原理の下、自らの責任において、リスクを負担しながら、ビジネス(ターミナルオペレーター業等)を行っていくという体質に転換していくことが期待される。

また、規模拡大、企業体力強化の結果、

・波動性を企業内に吸収することができ、効率性を高めることができる。

・船社、荷主とバランスのとれた関係を構築していくことができる。

・商権への固執も弱まり、商権の変更に伴う労働問題も発生しにくくなるとともに自社内での吸収が容易となる。

このような規模の大きいターミナルオペレーター業が育つことにより、こういった業態の事業者が中心となっている欧米やアジアの主要港にコストやサーピスの面で比肩しうる港湾運送の体制をとることができると考える。

 

○ 規制緩和の実施

現在の港湾運送事業が抱える問題を解決し、日本の港を効率よく、使いやすいものにしていくためには、事業免許制を許可制に(需給請整規制の廃止)、料金認可制を届出制にすることを内容とする規制緩和を実施すべきである。

ただし、その実施に当たっては、行政改革委員会最終意見においても指摘されているように、港湾運送事業がその特性から過去混乱の歴史を経験したという事実に鑑み、混乱が生じることのないよう、段階的に規制緩和を進める必要があると考える。具体的には、コンテナ輸送などを中心に内外の物流において大きな役割、機能を担っている(注)京浜港(東京港、川崎港、横浜港)、千葉港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、関門港(北九州港、下関港)及び博多港の9港について規制緩和を先行して実施すべきである。

なお、具体的には、これらの港における一般港湾運送事業、港湾荷役事業、はしけ運送事業、いかだ運送事業の事業免許制を許可制(需給調整規制の廃止)に、料金認可制を届出制にすべきである。

(注)これらの港で日本の外貿コンテナ取扱量の約95%(TEUベース)、輸出入貨物の約80%(金額ベース)を占めている。

 

○ 港湾運送の安定化策

効率化のみを求めるのではなく、労働関係等港湾運送の安定化に一定の配慮を払いながら、規制緩和を進めていくことが重要であると考える。

・悪質な事業者の参入の防止

・過度のダンピングによる港湾運送の混乱の防止

 

 

 

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