従って、
(2) 衝突確率の算定
Aとしては1993から1995年の3年間の平均衝突事故件数68件を用いることとする(3.1参照)。同期間に於ける有意義な平均衝突事故件数AOSは、44.3件である1)。また安全側の算定をする為に、コンテナー船の平均船速を23ノット、その他の比較的高速で運行する船種(LPGC、LNGC、冷凍・冷蔵船、客船)の平均船速を20ノット、その他生ての船種の平均船速を15ノットと考える。1997年度時点での就航隻数3)を基とすると、コンテナー船の等価な全就航隻数は3353隻になる。4.の結果を参照して、コンテナー船の中で潜在的に危険と成りうるものを、2000TEU超級で速度20ノット以上(約55%)に限定すると、等価な就航隻数は1844隻に絞られる。なお、等価な全就航船隻数は88422隻である。
(3) 考察
1997年の衝突事故発生件数は20件であり、このうちコンテナー船が関係しているものは零件であった4)。また、コンテナー船のみならず照射済核燃料等運搬船の見張・警戒・メンテナンスは一般船以上に厳しいものと考えられるので、漁船を含む一般船の衝突事故発生確率をべースとした上記推定はかなり安全側となっているものと判断される。なお、代表的な照射済核燃料等運搬の航路は核物質防護の観点から秘匿されているが、ジブラルタル海峡−地中海−スエズ運河、マラッカーロンボク海峡、東京湾・伊勢湾・瀬戸内海などの超輻輳海域の通過は避けられているので、実質的な衝突事故遭遇確率は上記よりも更に低めであると考えられる。