相対的に大質量となる低速肥大船系列の衝突船を考えた場合、その初期運動エネルギーは大きい(最大15倍超)が構造破壊等で吸収すべきエネルギー量(衝突の厳しさの指標)はそれ程大きくならない(最大1.5倍弱)事が判る。逆に、質量があまり増大しない一方で速力の早い、コンテナー専用運搬船(オーバーパナマックス級)・大型LNG船などの高速船系列の衝突船を考えた場合には指標が厳しくなっている。いずれにせよ構造破壊等で吸収すべきエネルギー量(衝突の厳しさの指標)は殆ど全ての大型・中型船でT-2タンカー以上に増加しており、その程度は最大3.5倍内外に達する。今後も、タンカー・撒積種貨物船の大型化は頭打ちであろうがコンテナー専用運搬船の就航隻数の増加、一層の大型化と高速化傾向が続くと考えられる3)。
図2 潜在的衝突船の排水量と「運動」・「要吸収」エネルギーとの関係
3.2.2 重大衝突事故発生確率の算定 本検討では、運搬船が他の船舶と衝突・破損し、「船倉の保護が喪失する」様な「重大被衝突事故」の発生確率を調査することを目的とする。 (1) 基本的な考え方 重大被衝突事故遭遇確率を、統計データをもとにした被衝突事故発生確率P1と衝突の条件を特定するパラメータP2との積で表す。
3.2.2 重大衝突事故発生確率の算定
本検討では、運搬船が他の船舶と衝突・破損し、「船倉の保護が喪失する」様な「重大被衝突事故」の発生確率を調査することを目的とする。
(1) 基本的な考え方
重大被衝突事故遭遇確率を、統計データをもとにした被衝突事故発生確率P1と衝突の条件を特定するパラメータP2との積で表す。
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