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一方、流出油の燃焼持続時間については2.2.5で検討されており、最も緩やかに漏洩する条件の場合、42,400m3の流出量では25.7時間かかって流出する。同じく、29,350m3では約18時間、21,200m3では約13時間となる。漏洩速度が遅い場合は海面に流出した油が燃え尽きてしまうことが考えられるが、流出が持続している間に再着火する可能性もあるので海面火災が続くとの保守的な仮定をおく。しかし、もともと油流出量が21,200m3以下の場合は、燃焼持続時間は15時間を越えないので、このケースでは輸送容器の健全性は保たれるため検討対象外とする。従って、燃焼持続時間が15時間を超える、図14で◎印を付したケースに関し確率論的評価を行う。

 

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図14 タンカーの種類別のタンクの損傷頻度と油漏洩量

 

5.1.8 着火確率

ロイドの海難統計を用いて、INF3船が油タンカーと衝突し火災が発生する確率を求めた。解析に使用した「海難電子統計データベース」は、全世界の100GT以上の船舶(年平均約7万6千隻余り)を対象としており、本研究では、1978〜1995年に発生した海難データを用いた。これには、事故に遭遇した約2万3千隻余りの船舶データが含まれている。この海難統計によると、タンカーとノンタンカーとの衝突は301件あり、そのうちタンカーに火災が発生したのは17件であった。301件には、軽微な損傷を引き起こす衝突も含まれているが、全衝突件数中重大損傷を引き起こす衝突は5.1.3において15%と評価されていることから、火災が発生した衝突は全て重大損傷を引き起こしていたと仮定すると、火災発生確率は0.38と評価される。

 

 

 

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