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4.3 海面火災時の輸送物の健全性

4.2の解析結果に基づき、表2に示した海面火災のシナリオに対して、輸送物の健全性について漲水装置も冷却装置も作動する場合と漲水装置が作動しない場合を想定して解析を行った。

 

4.3.1 漲水装置が作動する場合

漲水装置が作動した場合には、輸送物が冠水するまでは32℃の海水によりスプレーされることから、100℃以下の蒸気に接しているか、輸送物冠水後の周囲の水の温度は沸騰点以下であるので、100℃以下の水に接しているという保守的な仮定に基づき、定常状態として輸送物の健全性を解析した。輸送物胴中央部、レジン及びガスケット部の温度履歴の解析結果を図11に示す。輸送物の胴部における最高温度は132℃、レジンの最高温度は161℃、蓋シール部の最高温度は143℃である。この結果は、蓋シール部の最高温度はOリングの長期使用範囲150℃以下となり、輸送物の密封機能の健全性は損なわれることを物語っている。また、レジンの連続使用温度155℃を僅かに上回るが、TN28VT型輸送物の特別試験条件下の安全解析では、中性子遮蔽材はすべて消失するとして評価しても所定の遮蔽機能を有することが確認されているので、遮蔽性能を著しく損なうことはないことが明らかになった。

 

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図11 海面火災時に漲水装置が作動した場合の輸送物の胴中央部、レジン及びガスケット部の温度履歴

(火災温度800℃、火災持続時間30時間)

 

 

 

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