日本財団 図書館


7.4.2 船首高さと乾舷値

現行の満載喫水線規則においては、遠洋・近海区域を航行する船舶と沿海区域を航行する船舶についての規定が各々定められている。乾舷値の取り扱いとして、遠洋・近海区域では船首高さと船体中央部の乾舷を区別して規則を定めているのに対し、沿海区域では区別せず扱っている。限定近海での乾舷値を設定する際には、船首部と船体中央部の取り扱いを区別するのか否かも含めて検討を行う必要がある。海水打ちこみとの関連を考えると船体中央部は船首と異なり打ち込み水による衝撃荷重の発生はほとんどなく、平成9年度に本部会で行った模型実験でもその事は確認されている。これらのことより、船体中央部の乾舷を検討する際は甲板荷重ではなく主に水没性や予備浮力の観点から検討を行うのが適当であると考えられる。ただ、その場合に復原性は他の規則で担保されているので、要求基準の設定においては予備浮力を船内浸水に対する安全マージンとしてのみとらえ復原力そのものの確保を考慮しないこととする。

 

7.4.3 具体的な検討項目及び作業手順

(1) 限定近海船の乾舷値

打ち込みに関する諸量(打ち込み頻度、荷重及び水位)の長期予測計算結果を基に乾舷値の検討を行う。前述した様に、船首部は甲板荷重の観点から検討し、船体中央部は水没性や予備浮力の観点から検討を行う必要がある。また、遠洋・近海基準同様に船首高さと乾舷値を区別して扱うのか否かも検討する必要がある。

また、その際には基本乾舷値及びその修正といった枠組みを踏襲すること及び具体的な値を従来からある基準値を参考に検討を行うのが適当であると考えられる。特に貨物船はその大部分が二層甲板船であり、限定近海船の規定を設ける際には、現行の沿海基準及び近海基準を十分考慮して限定近海船の満載喫水線基準の検討を行う。

(2) 限定近海船に対する乾舷指定条件

乾舷値を決める前提条件として、甲板出入り口等の水密性を設定することになるが、その基準として沿海基準とするか遠洋・近海基準とするか、あるいは新たに基準を設定するかを考える必要がある。また、新たに船体の水密性に関する基準を設定する場合は具体的な基準値を検討する必要がある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION