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2.4 日本周辺の海象と航行区域の関係

1994年2月から1999年2月までの5年分の局所波浪データを用いて図2.1に示す領域の各計算点(緯度経度2分おき)の平均波高、平均波周期(波長)を四季別及び通年で求め、等波高線図、等波周期(波長)線図を作成した。これらを用いて日本周辺の海象・気象と航行区域の関係について検討を行ったのでその結果を以下に示す。

 

 

2.4.1 平均波高

通年及び四季別の等波高線図を図2.3に0.25m間隔で示す。図中には、参考のため沿海区域の境界及び限定近海船が航行可能な区域(以下、便宜上、限定近海区域と呼ぶ)の境界をそれぞれ太実線及び破線で示している。日本近海の波高の特徴に関しては、これまでにも波浪データの海域区分ごとの平均値からある程度明らかになっているが、等波高線図の形で見るとより詳細な特徴が分かる。

これらの図から日本近海の波高の特徴として以下のことが挙げられる。

(1) 陸岸からの距離と波高との関係を見ると日本海側も太平洋側もほぼ距岸20〜30海里程度までは波高が急に高くなるが、それ以遠では変化の度合いが小さくなっている。

(2) 全般的に日本海側の方が太平洋側に比べて波高が低くなっているが、冬期の佐渡島沖の海域は太平洋側の三陸沖とほぼ同じ波高となっている。

(3) 半島や岬の沖合は波高の変化が急であり、特に襟裳岬や犬吠埼沖の変化の度合いが大きい。

(4) 年間をとおして房総半島沖の海域が最も波高が高くなっている。

(5) 沖縄東方海上は、冬期より秋期の方が波高は高い。

また、航行区域と波高との関係をより分かりやすくするために、図2.3に示す通年の等波高線図を沿海と限定近海の境界付近で拡大して検討を行ったところ航行区域と波高の関係として以下のことがわかった。

(1) 沿海区域の境界の波高は、太平洋側では犬吠埼沖及び三宅島周辺海域を除いてほぼ1.5m〜1.75mの間になっている。

(2) 日本海側の沿海区域の境界線付近の平均波高は、ほぼ1.5m程度である。

(3) 限定近海区域の境界では、八丈島付近を除いて太平洋側は波高ほぼ1.75m〜2.0mであり、日本海側では、波高1.5m強となっている。

 

 

 

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