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・ベルギー………大国に囲まれた小国であるが、ヨーロッパの先進工業国(鉄鋼、ガラス、織物等)としてなお独立を守っている。

・オランダ………小さな国で低地であるが、独立を保ち高い生活水準を保っている。

※ベルギー、オランダの2国を見て、国民の勤勉さと独立心が小国を維持している原因であると見た。

・ドイツ…………ドイツの名外交官と言われたビスマルクと会って、次の話を聞く。

「当今、世界の各国は、皆、親睦・礼儀をもって交わっているように見えるが、それは全く表面上のことで、内面では強弱相しのぎ、大、小を侮るというのが実情である。

私がまだ幼い頃には、…いかに小国の悲哀を味わったか…決して忘れることは出来ない。

いわゆる万国公法つまり国際法も列国の権利を保全する不遍の法とはいうものの、大国の利あるうちであり、一旦不利となれば、公法に代わって武力をもってするのである。」

※米英のみを見ていたのでは分からなかったこと、即ち、ヨーロッパは陸続きであり、戦争の歴史であった。

ヨーロッパに来て、軍事、外交に関して相当認識を新たにしたと思われる。

・ロシア…………列車でロシアに行く途中、ポーランドを通った。

ポーランドは、ドイツとロシアとに分割され、国が無い状態であり、亡国の民を見た。

ロシアは絶対王政の国であり、当時、首都はペテルブルグ(現サンクト・ペテルブルグ)であった。ペテルブルグは浮いたような大都市に見え、王侯貴族等の上層部のみが贅沢な生活をし、一般の人は貧しい生活をしていた。これは、国力としては下位にあるとみている。本当の国力とは、一般の人達全体の民度が、高い独立心、自主性を持っているほうが国力としては強いと見た。

 

 

 

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