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不平等条約の改正は無理だということは分かっていたので、予備交渉及び調査旅行が主であった。

特に、この旅行に岩倉、木戸、大隈、伊藤の4人が加わったことで、明治のビジョン作りに行ったと言ってもよい旅となった。

米欧各国での視察の状況、そこから彼等が得たもの等を各種文献からまとめてみると次のようなものである。

・アメリカ………6ヵ月半(約200日)滞在

政治、経済、産業、貿易、宗教、新聞社、司法、農業関係と、あらゆるものを見学

・イギリス………4ヵ月(約120日)滞在

当時のイギリスは七つの海を支配する大英帝国の最盛期であった。日本と同じ小さな島国で、しかも気候に恵まれないこの国が、いかに世界に冠たる富と強さを勝ち得ているかを見た。特に、貿易、産業革命以降の工業、石炭による「世界の工場」と言われていた経済、政治、社会についても見た。

・フランス………パリに2ヵ月滞在

フランスは、2年前、普仏戦争でビスマルクのドイツに敗れた直後であったので惨澹たる国土を予想して到着したが、それをとどめない華やかさがあり、ヨーロッパの文化の粋を見て驚く。

フランスはヨーロッパの番良い位置を占めており、財産保護、農業等の効果により国力を保持しているのを観察している。

 

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セーヌ川とエッフェル塔(1889年建設のため岩倉使節一行は見ていない)

 

 

 

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