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日本では、「ポイ捨て禁止条例」というものが3年前から横浜市で、今年4月から渋谷区で施行され、それ相応の効果が出ているそうだが、こちらはゴミを捨てることに全く抵抗がないようである。ゴミを捨てる人あらば拾う人ありで、街の至るとこでゴミ掃除が行われている。ゴミを捨てる人に、「街はきれいなほうが良いじゃない。ゴミはゴミ箱へ。」と問いかけるならば、「だって彼らの職域を奪ってしまうじゃないか!」と答えが返ってきそうだ。

(譲り合い) 前掲の地下鉄は昔に掘ったトンネルの大きさに合わせた車両であり、角が丸くなっているので、非常に狭く感じる(丸い部分は天井に頭が当たる)。車両の入口付近に大きな人がデンと立つものだから、座席側にスペースがあっても次の人が乗れない(敢えて乗ろうとせずに次の電車を気長に待っている。)。一方扉の場合では、必ずといって良いほど後方を振り返り、次の人が居れば扉を開けておいてあげるという風に、周辺配意の対象の違いに気付く。

(マナー) 電車などの公共の場、レストランでも携帯電話は使い放題である。特に、金曜日の夜はパブでしこたま飲んで、帰りは放歌高吟。反面、喫煙禁止の地下鉄で酔った若者がタバコを銜えてて車内に乗ろうとしたが、乗客により拒否されるというように、目の前での不快な行為に対して敢然と意見する。この両者が同一人物かどうかは定かでないが、マナーが悪い人あらば、それを正す人ありでバランスが取れているのか。公共の場で子供が我侭に振舞うようなことにはお目にかからない。

[更なる探索]

英国はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4カ国の集合体で複雑な歴史を積み重ねてきており、「東京が必ずしも日本を代表するものではない。」以上にロンドンだけで英国を語ることはできない。

しかし、生活はノンビリと人生を楽しもうという感覚は、せっかちな日本人にとってややもすると「じれったい。鈍い。」などの否定的認識に陥りがちだが、(賛否の如何は別として)先般のコソボ空爆などに見られるように国家としての意思決定や行動展開の早さには驚かされたし、ブレア首相が「今後10年で中産階級の比率を各段に向上させる。」と公言して憚らないなど依然として厳然たる階層社会を形成し、古いものに拘わり続けるお国柄の中で、バッサリと行政機関の合理化を図ったり、制度を見直す柔軟性があり、多種多様な国の人々が集って来られる懐の深さをも併せ持っている。

 

 

 

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