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ビールの後でサンドウィッチ、ポテトチップス、チョコバー、パブめしだと皿に山盛のフライ、何れも肥満への道をまっしぐらで、成人の半数は肥満、しかも15%は病的な肥満で心臓病を患っているとのことである。「ちゃんとした食事をしていない結果だよね」と我が身に言い聞かせつつ、ますます和食の道にハマリつつある今日この頃。

(衣)渡英の引越しは手持ちのトランクを除いて、○○運送の海外宅急便3箱という身軽なものであった。英国は衣類や靴の本場だから、当面の分だけ送って必要なものはあちらで買おうという気軽な気持ちからである。「背広はセビルローという通りに由来する。」(この通りはリージェント通りの1本西側にあり、背広屋が集まっている。因みにリージェント通りは一部が急カーブしている形状で、昔流行ったリージェントヘアーはこの通りの形状に由来するらしい。)と言われる本場だけあり、質はなかなかのものである。

英国スーツの特徴は、黒色、紺色、灰色を基調色とする地味なカラーを主流とし、ストライプやカットで変化を付けている。しかし、内側は総裏地で中には真っ赤という「ものすご〜く派手」なものもある。シャツやネクタイも彩り鮮やかで、スーツ全体を地味系にして、Vゾーンにアクセントを付けたり、シャツの袖口はダブルでカフリンクなんぞを付けて間接的に個性主張をしているようだ。ここまで読むと「イギリス人てお酒落ではないか?」と思われるかもしれないが、「何故スーツが地味系か?」を考えると少々面白い。

ロンドン地下鉄は1863年に開業しているが、蒸気機関車でトンネル内を牽引するにもかかわらず客車は屋根のない無蓋車で、唯一ピストン効果での換気(トンネルに上港方向の穴があり、列車が通ると全面の空気は押されてこの穴から放出され、替わりに後方の穴から新鮮空気が吸いこまれるという方式)が機関の燃焼のために行われていただけなので、このとき淡色の衣服なんぞ着ようものなら、「トンネルを抜けると大掃除の時に使ったおニューの雑巾だった」ことでしょう。1956年に「大気清浄法」が制度され、スモッグ削減のため石炭の使用が禁止されたとのことであるから(これにより名物の霧がなくなった。)、地味系色は単なる汚れ隠しだったと言えるかも知れない。

 

 

 

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