日本財団 図書館


フラットは、1909年建設の比較的新しい物件であるが(だそうです。)、つい最近上の部屋の水漏れが原因で風呂場の天井に穴があいてしまい、ある日家に帰るとバスタブにレンガが散乱していたのにはビックリした。この穴が塞がれるのは暮れ頃かな……焦っても仕方がないし……随分気長になったものだ。

(食)「イギリスには美味しいものがない!」とは良く聞かれる言葉である。もう少し正確に言えば「イギリス料理にはあまり美味しいものがない」ということになる。

イタリア、フランス、スペインなどのヨーロッパ各国の料理、インド料理、中華料理、アラブ料理、東南アジア料理と多種多様で、味も素晴らしい。

それだけに、古くから世界の料理の刺激を受けながら、何故イギリス料理は世界で認められるようなものにならなかったのだろうと不思議でならない。

・自分達が苦労しなくても、美味しいものは英国に来た外国人が作ってくれると思っているのか。

・ワインは、古くは貴族階級の特権であり彼らが良いものを作るために随分努力したらしく、その甲斐あって今でもワイン人気は絶大であるが、料理の発展・普及は庶民文化であると言われるものの、当の庶民は食べ物に無頓着なのか。

「イギリス人に大味のフライドポテトとソーセージとアイスクリームと蒸したプディングの山盛りをビールといっしょに供されたら、それは純粋に親切心の表れなのである。」と言われるが、要は「質ではなく量と値段が尺度」というのは頷ける。

ランチタイムに事務所近くを探索すると、数あるパブには何時も人だかりが出来ており、昼間からパイント(約570cc)のビールを飲んでいる(中には2杯飲む人も)が、ツマミや食事を摂っていないのが一般的である(パブめしの代表は「フィッシュアンドチップス」という馬に食わすほどのタラのフライとイモのフライの盛り合わせ)。パブの帰りにサンドウィッチを買っているようだが、これで夜まで持つ筈が無く、空腹感の穴埋めにポテトチップスとチョコバーが至福の時を演出することになる。本当はリッチなヤングエグゼクティブ(やっかみを込めてヤッピーと呼ぶ。)のように、「ランチタイムはアメリカのビジネスマン風にレストランでパワーランチを!」と行きたいところだが、値段が高くて諦めざるを得ない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION