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また出張派遣団は、当時の懸案事項として、去る1月に発効された新日韓漁業協定に伴う協力についてを始め、新生丸衝突事件に関する捜査協力依頼、更には3月に発生した能登半島沖不審船事案に伴う今後の協力についての三つの事項があったことから、これらの事項に係る原課職員を最優先で選抜し、楠木前長官を始め、久保田警備救難部長、与田前国際課長、牛島警備第一課長、澤木海上防災課補佐官、奥島前長官秘書、玉野警備第二課主任と私の計8名で構成された。

訪韓日程については次のとおりであるが、3日間という短期間ではあったが、関係機関への訪問等、大変内容の充実した日程になった。

4月29日(木)

午前 成田空港発(JL951)金浦空港着

午後 長官級協議(「日本国海上保安庁と大韓民国海洋警察庁間の協力について」への署名)

韓国海洋警察庁長主催晩餐会(仁川市内)

4月30日(金)

午前 海洋水産部長官(大臣級)との会談

午後 駐韓日本大使館大使との会談

海上保安庁長官主催晩餐会(ソウル市内)

5月1日(土)

午後 金浦空港発(JL954)成田空港着

 

3. 訪韓を振り返って

天候にも恵まれ、全ての予定を無事消化でき、私自身担当者の一人として考えても今回の訪韓は、大成功であったと考えている。しかし、調整する段階においては、いろいろと苦労したことがあったことも事実であり、その中でも私が特に印象に残っている何点かについてお話したい。

まず、何よりも難しかったことは、署名文書に関する調整であった。

内容としては、当初から協力に関する連絡窓口設定ということが主であり、両機関間の一部では、既に実際に活用している連絡ルート等が設定されていることから、比較的スムーズにいったのだが、両国行政機関のシステムや言語の解釈の違いから、なかなか折り合いがつかず、一時は暗礁に乗り上げた。

システムの違いで挙げられる一番の点は、諸外国と署名を有する文書については、一義的に外務省が所掌することとなっており、文書の形式等必要に応じて閣議了承が必要となる我が国のシステムに対し、韓国は今回のような専門機関同士の協力文書等については、一応外交通商部(韓国の外務省)に内容の協議をするものの各機関において署名できるシステムになっている。

 

 

 

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