日本財団 図書館


汚染事故に関する通報をZMKが受けたときには、ELGの連邦委員に通知し、当該連邦委員が州委員との協議により、ELG招集の必要性を決定することとされているが、あわせて、汚染の危険のある州の委員がこれを要求した場合には招集すべきことが定められている。

実際の防除対策は、連邦の水路船舶航行管理事務所や各州の関連機関により実施され、必要な資機材もこれら機関が保有しているが、ELGが設置された場合には、これらはその指揮下に入る。また、必要に応じ海軍や民間のサルベージ会社、海運会社、製油会社等もこの対策に加わる。

(ニ) 以上述べた体制は、前記行政協定に基づくものであり、法律上特段の根拠はない。

(ホ) 連邦交通省と関係機関との間では行政協定が締結されており、例えば海軍との関係では、1980年に交通省と国防省との間で協定が締結された。これは、タンカー事故の際の海軍の協力可能範囲、協力の態様、協力要請手続き、費用分担などを定めたもので、これには必ずしも明示されていないが、要請に応じて海軍が油防除対策に協力する場合、その範囲内では、実質的にELGの指揮に従うことが関係者共通の理解である。

(ヘ) 上記の常設機関以外の職員は、連邦や州の対策実施機関職員を含め日常的には油防除以外の業務に従事していることが通例であり、油流出対策のための人員規模を示すことは難しいとのことである。

また、資機材の面でも油回収船等は多目的に活用されている(日常的にはこれらは航路標識の整備、海上警察や消防の業務に用いられており、そのための装置も備えている)ため、油防除に係る予算額を個別に明らかにすることも困難である。

ちなみに、油回収船等の多目的利用には、使用効率を高めるという理由のほか、可能な限り海上で活動しておき、事故発生時の現場到着を迅速化するという目的もある。

(ト) ELG招集の基準としては、ELGの任務等を具体的に定めたELG要綱において、次のような事項が定められている。

a ELG対象事故であるかどうかは、周囲の環境及び条件を考慮して決定されるべきこと。その際、特に、流出汚染物質の態様及び量、汚染の危険のある地域の大きさ及び防除の必要性が考慮されるべきこと。

b 次の基準を越え、又は次の地域が相当程度危険にさらされる場合には、一般にELG対象事故であること。

・油流出量

外洋(水深10mの線より沖合)では約50立方メートル

沿岸部(水深10mの線よりも海岸寄り)では約10立方メートル

航路では約5立方メートル

・海岸線の長さ 水際線付近の相当程度の汚染が3kmに及ぶこと。

・特別な地域  アザラシ群棲地、貝類群棲地、ふ化・営巣・休息の場所、国立公園、自然保護地域、観光地域

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION