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(ル) さまざまな分野が民営化されたが、それに伴い、通信分野のドイツテレコムも民営化され、その時点でドイツ沿岸地域にあった通信施設(中波、短波、超短波)が効率がよくないということで全て閉鎖されてしまった。

連邦交通省はそれに対処するため、1996年、ドイツ海難救助協会に対して、1999年1月1日以降、遭難周波数(CH16(超短波)、CH70)の監視と、これらの周波数による遭難通報を行う任務の委託を行った。これは、MRCCブレーメンから操作される。

(5) 海洋汚染防止

イ 所掌分担

ドイツの制度は、日本の制度と必ずしも整合していないので、所掌分担を区別することは難しいが、大まかに述べると次の通りである。

・MARPOL条約関連……連邦交通・建設・住宅省

・OPRC条約関連……

連邦交通・建設・住宅省と沿岸州政府(ドイツは北海、バルト海のみ海洋に面しているため、沿岸部にある5州(ハンブルグ州、ブレーメン州、ニーダーザクセン州、シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州と、90年のドイツ統一後、旧東独地域のメクレンブルク・フォアボンメルン州の5州)を沿岸州又は沿岸5州と称する。)

ただし、同条約第7条に該当する油等による汚染対策に関しての国際協力の枠組みとして、北海地域についてはいわゆる「ボン協定」、バルト海地域についてはいわゆる「ヘルシンキ条約」があり、しかも、行政協定に基づき、連邦と州の共同任務として関連対応業務は整理されている関係上、単純に所掌を決めることは難しい。

・廃棄物の海洋投棄及び焼却…連邦環境自然保護原子力安全省(いわゆる環境省)及び投棄の許可に関しては……連邦交通・建設・住宅省の外局である連邦海運水路庁

ロ 関連法令

関連法令についても複雑なので、日本の制度と同じように議論できないが、単純に言えば以下の通りである。

・MARPOL条約関連……「船舶による海洋汚染の防止に関する1973年の国際条約及び当該条約に係る1978年の議定書に関する法津(MARPOL法)」

・OPRC条約関連……「油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する1990年の国際条約の発効に関する規則(OPRC規則)」、ボン協定、ヘルシンキ条約、連邦政府と沿岸5州との行政協定など

 

 

 

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