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・ 養成は、2種類のグループに対して行われている。

1]救助隊員に対しては、彼等が海に関する基礎知識を有しているというのが前提であるので、それに対して特別の海難救助のトレーニングを行うということであり、センター内には言語ラボ、シミュレーターを用いた想定訓練(6コース)があり、SARのへりにのる場合のシミュレーションもある。

セミナーの中には、実際の救助艇に乗っての実戦訓験もある。

2]MRCCに勤務し、海難発生時にコーディネイトを担当する者に対する(船長資格保有者)セミナーは、ドイツ国内のみならず、米国コーストガード、英国のこの種養成機関での研修に定期的に参加しており、高い特別教育水準を維持している。近隣諸国のSARサービス調整センターとの要員交流も頻繁に行っている。

しかし、この協会は民間であり、自由に活動でき、独立した人道的協会ということになっている。そこで働く救助員は、連邦交通省とは契約を結ぶが、あくまでも省とは別個に活動ができる。

(チ) 訓練の実施状況

国内における年間平均5回の訓練だけでなく、北海及びバルト海の公海上での近隣SARサービス及びNATO加盟諸国との年間平均3回の定期的な国際演習が実施され、参加者全員の優れた能力、資質の向上に役立っている。訓練は、通常、衝突、火災、浸水、病気・負傷、サルベージ等幅広く想定して行われるが、何等かの条件を設定するということはない。

(リ) 財政

ドイツ海難救助協会の年間予算は、約3,080万ドイツマルク(約18億円)である。その内訳は、次の通り、政府からの補助金等税金からの資金投入は一切なく、あくまでも寄付で賄われていることが非常に特徴的であり、他の国にも適用して良い分野ではないだろうかと誇らしげに説明していた。

81% メンバーによる寄付(地域社会からの寄付金、名簿による募金を含む。)

6.5% 回収船から

5.9% 船主からの寄付

6.6% 罰金に代わる補償

(ヌ) 1996年、ドイツ連邦交通省は、海上における病人の救援・救護についても、ドイツ海難救助協会に任務を委託することになった。

2000年以後に施行される新しいSAR協定においては、SARの中の病人避難というのも新しく組み込まれた分野となる。

 

 

 

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