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ハ 運輸関係行政組織

(イ) 連邦政府 連邦政府における運輸関係行政組織の中核が連邦交通・建設・住宅省である。その権限範囲を我が国の運輸省と比較すればその相違は次のとおり。○道路建設、道路交通規制等に関する事務も交通省の担当であり、自動車交通に関してはほぼ一元化されている、○内水輸送に係る水路(河川・運河)の建設、維持等の事務も担当しており、前述の道路等とあわせて、交通関係のインフラをほぼ一元的に所掌している、○観光、造船は経済省の所掌である、○船員労働行政は、労働社会省の所掌である。

なお、ドイツでは、統一条約で1998年から2000年の間に首都機能をボンからベルリンに移転させることが決定されており、連邦政府を構成する各省についても18省庁中11省庁の移転が予定されている(他はボンに残留。)。連邦交通・建設・住宅省もベルリン移転対象とされているが、現在の計画では、実際に移転するのは大臣、次官及び官房並びに交通政策局の一部(人員にして1,200名中400名程度)のみで、他の組織はボンに残留することとされている。

(ロ) 州政府 州の処理する交通関係事務を州政府がどのような組織により処理するかは各州の決定にゆだねられており、州毎に相違があるが、州政府の交通省、経済省などの組織が担当することが一般的である。

(4) 捜索救難について

イ 経緯

(イ) 1979年4月、IMCO(政府間海事協議機関)の採択会議がハンブルグにおいて開催され、海上における捜索及び救助に関する国際条約」(SAR条約)が採択され、1985年施行された。

ドイツは、1982年、同条約を批准した。

(ロ) 1982年の批准時、ドイツにおいては、「ドイツ海難救助協会」(Deutsche Gesellschaftzur Rettung Schiffbruchiger 略称:DGzRS)が歴史的に唯一の海上捜索救助機関として発展してきていた。

同協会の設立は早く、1865年であった。ドイツの北海及びバルト海沿岸の救助組織・サービスを統一するために、キール市で会合を開いた多数の地域救助組織の代表者120名によって創設された。

ドイツ海難救助協会の活動範囲は、その創設者によって定められたが、それは現在でも有効なものであり、次図のドイツ捜索救助区域と同一である。

その活動とは以下のものである。

沿岸及び公海上において、効率的な海上捜索救助サービスを実行、促進、維持すること。また、海上人命救助に対する無私の献身の理想を高め、それによって人的行動による国際的な連帯を促進すること。

 

 

 

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