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さらに、統一後は国際社会への一層の協力姿勢を鮮明にしつつある。

ロ 旧ソ連・東欧との協力

統一後も独は、ロシアと頻繁に首脳レベルの相互訪問をおこない、経済・文化面を中心に数多くの協定等を締結、両国間の包括的な協力関係の基盤づくりを行ってきた。同様にポーランド、ブルガリア、チェコ、ハンガリー及びルーマニアとの間でも善隣友好条約を締結。独は、これら諸国における民主化、市場経済化への移行が混乱なく進展することを、欧州、並びに世界秩序安定の要素として特に重視しており、経済支援にも積極的。独一国で、G7及びEUによる対NIS支援の6割を占める。

ハ 冷戦後の安全保障

冷戦後の安全保障秩序を模索する中、独は、ワルシャワ条約機構解体後における安全保障上の空白地帯の出現、民族問題の表面化等の不安定要因に対処するため、CSCE(全欧安全保障協力会議)の機構強化、北大西洋協力理事会(NACC)を提唱。また、CIS諸国のCSCE及びNACC参加を提唱。

ニ 欧州連合(EU)重視

独はまた、欧州統合の中核をなすのはEUであるとの観点から特に仏との連携を図りつつ、EUの経済・政治統合を積極的に推進。また、EUのEFTA・東欧諸国への開放にも積極的。

ホ 国際貢献

独政府は、統一後、独の国際的責任が増大したことを強調しつつ、国際社会の平和・安定、環境保護等のグローバルな問題に取り組む姿勢を強めている。94年7月、議論のあった連邦軍のNATO域外への派遣を巡る合憲性につき、憲法裁判所は、国連の枠内で行われる活動に対する派遣で、議会の過半数による原則として事前の承認があることを条件にこれを合憲と判断した。

また、政府は、国連の常任理事国の役割を引き受ける用意がある旨明確にしており、ドイツと日本が拒否権を有する常任理事国になるべきとの立場をとっている。

へ 対アジア関係の重視

独政府は、93年9月、閣議決定により対アジア関係重視の方針を打ち出し、我が国を優先的パートナーの一つと位置付けた。民間レベルでも「アジア・太平洋委員会(APA)」が設置され、高成長を続けるアジア・太平洋地域との経済的関係の強化にも積極的な取組みを開始している。

(4) 国防

イ 独(西独)は、1955年に北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、西側の集団安全保障の一翼を担っている。

 

 

 

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