3) ベイエリアにおいて望まれる地域物流システムの方向
今後、ベイエリアにおける既存の物流インフラ等を活用し、当該地域の物流効率化を促進するため必要な機能として、5つの機能を提案する。5つの機能として、インキュベート機能、広域ハブ機能、センター機能、環境対応機能、物流情報機能である。
1]ロジスティクス・インキュベート機能
大手物流事業者は全国的なネットワーク、及び資本力を活かし自社物流機能の高度化を進めている。その一方で、ベイエリアに多数立地する中小物流事業者は、高度化する荷主のニーズに対して十分に対応できる高度化ができない状況にいる。
従来、ベイエリアの物流機能の強みは、様々なノウハウを有する物流事業者の集積があることにある。今後もこの強みをより一層強化するため、当該地域に中小物流事業者を特に対象としたロジスティクス・インキュベート機能の展開を進める。
※インキュベートの対象:起業家に対して、ここでは特に中小企業の事業高度化、新規事業展開を対象としたインキュベート機能を展開する。
集積する中小内陸物流事業者、港湾関連物流事業者に対して、3PL事業化等を促進するためのインキュベート機能を展開する。
○わが国でもはじめてのロジスティクス・インキュベート機能の展開
ベイエリアはもとより、わが国においてロジスティクス・インキュベート機能を展開する地域、施設は現時点においてない。
一般的にメーカーや情報系企業のインキュベート機能の内容として、事業化支援、資金支援、人材支援、各種コンサルティング、施設提供等がある。
ベイエリアでは、これらの側面から物流企業に対するインキュベート機能を提供する。なお、ここでは、一般的にインキュベート機能の対象は創業間もない企業を指すが、新しい事業に展開するベンチャー的志向のある既存企業も合めたものとする。
わが国ではじめてロジスティクス・インキュベート機能を展開するための活用可能な既存資源として、研究・教育機関(流通系大学、物流系大学の存在)、共同入居スペースの存在、ベンチャー企業投資ファンド機関等の存在等がある。